所属芸人の闇営業問題で、吉本興業の岡本昭彦社長(52)は、自らの辞任を会見で否定し、パワハラなどと指摘されている会社の体質改善に取り組む考えを示した。
ネット上では「甘すぎる」との声も出ているが、社長の示した改善策で大丈夫なのだろうか。
「すべて私の責任」だと説明したが...
「ここで、気持ちを受け入れてもらえるものならば...すみません」。岡本社長は、2019年7月22日の会見で、宮迫博之さん(49)の契約解除処分を撤回することを明かし、宮迫さん側のことに触れると、口ごもって涙声になった。
それは、「芸人が会社に不信感を募らせ、会見を行わせた」「非常につらい思いをさせた」ことに何らかの思いがあったかららしい。
田村亮さん(47)らは、会見したいことを何度も伝えていたが、「事実関係が十分明らかになっておらず、(引退するかなど)芸人の意思が固まらないままでは、記者会見は芸人を傷つける」と考えて躊躇したと明かした。
岡本社長はまた、「会見してもいいが、全員クビだ」といった恫喝めいた発言について一部を除いて認めた。「身内の感覚で言った」などと釈明しながらも、芸人が感じているのならパワハラになるともした。
これらは、「芸人ファースト」でなかった点だ。さらに、もう1つの問題として、闇営業やイベントへの芸人派遣で反社会的勢力の排除が徹底できていなかったことを認め、「これらはすべて、私の責任」だと説明した。
ところが、自らや大崎洋会長(65)の処分については、50%の減俸を1年間続けることに留めた。進退について記者から質問が出ると、「この状況でヒアリングをやり切ることと、(芸人が)しゃべりづらい環境を変えていくことを今やらないと」「まず自分自身を変えていく」と述べ、自らの辞任を否定した。
会見については、これを機会に吉本が変わればいいと期待する声もあったものの、厳しい声は多かった。
「権力を持つと自らの立場をはき違える悪いパターンに」
ニュースのコメント欄やツイッター上などでは、「甘すぎると思う。社長は辞任すべき」「処分撤回は的外れだと思った」「今後も吉本興業のブラック体質は変わらない」などと書き込まれている。
会見を見た芸能事情通は7月22日、J-CASTニュースの取材に対し、岡本社長らの処分についてこう話した。
「吉本は、大崎会長が作り上げた会社ですので、辞任すると成り立たないと思いますが、社長はすげ変えるべきでしたね。岡本社長は、20年前は関西人らしい腰の低さがあって出世も早かったですが、権力を持つと自らの立場をはき違える悪いパターンになってしまいました。しかし、吉本は、プロデューサーは多いんですが、経営者になれる人材がいないんですよ」
宮迫さんらの処分撤回については、「芸人たちの反発を恐れて契約解除の処分にしたのでしょうが、撤回は、宮迫さんたちの会見の雰囲気に流されて行った付け焼き刃でしょうね」とみる。
そもそも、吉本興業の何が悪かったかについては、こう言う。
「初動の失敗だと思いますね。芸人たちがツイッターでウソを付いて問題になる前に、まず事務所が声明を出すべきでした。仕事でも、芸人に闇営業をさせることを止めて、吉本が責任を持って仕事を割り振らないといけないでしょう。そうすれば、芸人たちの給料も上がることになります。今後、いい方向に行くかは、吉本が変わったので芸人が頑張ろうと思うことですが、このまま体質が変わらない可能性もあると思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)