「つかず、離れず」の関係
渋谷パルコでは、セゾングループ時代からの象徴でもある「パルコ劇場」の席数を従来より5割増やすほか、ミニシアター「シネクイント」も展開する。また、飲食店フロアでは厳格な菜食主義者「ヴィーガン」向けのレストランをはじめ、さまざまな客層を想定した新店舗をオープン。その場では販売されない試作段階の商品に触れることができる実験店も導入する。この間、主力ながらも苦戦していた衣料品ではない分野を拡大させたのが特徴で、それはパルコ全体の戦略でもある。
実際、直近の2019年3~5月期連結決算(国際会計基準)においても、衣料品ではなく、食品や飲食関連の店舗を中心に売上高が伸びており、純利益は前年同期比6.2%増の18億円となった。
パルコはかつてイオンとJ.フロントによる争奪戦の結果、2012年にパルコ側が選んだ格好で独立性を維持させてくれそうなJ.フロントの傘下に入った。実際、今日までブランドはもちろん上場は維持され、社長も生え抜きのままで、独立性は十分維持されている。この「つかず、離れず」の関係が良い結果を生んでいるようで、株式市場で期待感を高めていると言えそうだ。