「警察の監視下で選挙が行われているような現実」
選挙中の警察の行為が問題化した例で思い出されるのは志布志事件。03年の鹿児島県議選の当選者が買収会合を開いたとして、15人が公職選挙法違反容疑で逮捕、うち13人が起訴されたが、07年に全員(1人は公判中に死去)の無罪が確定した。同時に警察の捜査手法に違法性が認定された。さらに16年の参院選大分選挙区では、現職候補らを支援する労働組合などが入る建物の敷地に、同県警警察官が「隠しカメラ」を設置していたことが発覚。4人が建造物侵入容疑で書類送検された。
志布志事件の国賠訴訟にも関わってきた原田氏は、こうした事件を頭によぎらせたという。さらに札幌のケースから3日後の7月18日には、滋賀のJR大津京駅前で、安倍氏の応援演説中に野次を飛ばした男性が警察官に取り囲まれた。原田氏は「戦後74年が経った今なお、警察の監視下で選挙が行われているような現実があり、札幌の問題の根底にもそれがあると考えます。いまだに民主主義の根幹である選挙に警察が介入していく。この問題は警察の不手際ということを超えて考えないといけない」と警鐘を鳴らした。
北海道警察本部広報に、今回の警察の行為に対する見解を改めて聞いたが、「本件については回答していない」とするにとどめた。
弁護士団体「自由法曹団」は19日、今回の警察の対応は「公権力が、有形力を行使して時の権力者に対する批判を強制的に封じ込めることにもつながりかねない」として、「民主主義を守り、政治的言論の自由の保障を求める立場から、今回の北海道警警備部の対応に対して厳重に抗議するとともに、全国の警察等の公権力に対して政治的言論に対する干渉を行うことのないよう強く要請する」と抗議声明を発表している。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)