安倍氏へのヤジは「演説妨害」だったのか 札幌「排除」問題、警察OBと弁護士の見解割れる

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「明らかに警察の政治的中立性が形骸化している」

   また、他の政党・議員・候補者の演説と比べても、警察の対応には疑問が残るという。

「警察の活動は行政活動にあたることから、平等原則(憲法14条1項)が妥当し、合理的な理由がない限りは、平等に規制を行わなければなりません。そのため一般論として、他の政党・他の議員・他の候補者の選挙演説中に同様の野次が飛んだ場合でも、同様に警察によって強制移動させられると考えるのが通常の考え方です。

しかしながら、7月12日の共産党候補の応援に山本太郎・れいわ新選組代表が駆け付けた街頭演説において、拡声器を持って批判的発言をしていた男性がいたにもかかわらず、警察は強制移動させないどころか、一切注意をしなかったという報告がSNS上で多数なされました。

このことが事実だとすると、警察は安倍首相の演説のみを擁護し、他の政党・他の議員・他の候補者の演説を擁護しようとしていないことがうかがえ、この取り扱いも首相だからというだけで合理的理由は認められません。警察の政治的中立性が形骸化していると疑われます。

このような首相の演説に対する批判的発言のみが規制されるということになると、一般市民の表現の自由が侵害され、首相に対する抗議ができず、最終的に国民主権・民主主義という憲法の基本的価値が崩壊してしまいます」(藤田弁護士)

   その上で藤田弁護士は、警察の行為が上記「特別公務員職権乱用罪」に当たる可能性もあるという見解を示した。

「同罪の『濫用』にあたるというためには、警察官が、その一般的職務権限に属する事項につき、職権の行使に仮託して実質的、具体的に違法、不当な行為をすることです(最高裁決定・1982年1月28日)。先ほどのように今回の強制退去行為が、法的根拠に基づかない、一般市民の表現の自由への権力による不当な弾圧であった場合、『濫用』にあたる可能性があります。よって、特別公務員職権乱用罪にあたる可能性はあるといえます」
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