NGT48の村雲颯香(むらくも・ふうか)さん(22)が2019年7月18日、8月末にグループを離れて「卒業」し、芸能界を引退することをグループのウェブサイトで発表した。
村雲さんは、山口真帆さん(23=19年5月卒業)が暴行事件をツイッターで告発した後も「寄り添ってくれた」と明言していたメンバー3人のうちのひとり。残る2人は、山口さんと同時に卒業した菅原りこさん(18)と長谷川玲奈さん(18)で、村雲さんはグループに残っていた唯一のメンバーだった。山口さんに「寄り添った」メンバー全員がグループを去ることになり、世論がグループに向ける目は厳しさを増しそうだ。
劇場公演もSNS投稿もできず...
AKB48グループのメンバーは、劇場公演で卒業発表することが多い。だが、NGT48での劇場公演は5月に行われた山口さんらの卒業公演が最後で、ほぼ「開店休業」状態。SNSや動画配信で卒業発表する場合もあるが、加藤美南さん(20)による不適切投稿が原因で、NGTメンバーはSNS利用を自粛中だ。
こういったことを背景に、NGT48の劇場ステージにメンバー全員が整列し、村雲さんはそのセンターに立って卒業の意向を語った。その様子を収めた動画をウェブサイトで公開するという異例の形式だ。
村雲さんは、山口さんらが卒業発表した直後の4月22日のツイートで、
「最悪の結末と言われても仕方がありません」
などと悔やむ一方で、
「NGT48に変わって欲しかったという3人の願いを胸に、正しいグループとしての姿を皆さんにお見せできるように頑張ります」
とグループ残留にあたっての決意を明かしていた。村雲さんは今回の動画で、
「今年に入ってから両親とも話し合った上で卒業を決意し、2月の下旬から支配人に相談をしていました」
と明かしている。卒業を決意しながらもグループ再建を目指していたことになるが、
「今のNGT48には変わらなくてはいけない部分もたくさんあると思っています。そしてグループが変わっていくことは決して簡単ではないと、この数ヶ月間で身に染みて分かりました」
とも。志半ばでの卒業だ。
メディア露出もきわめて限られる
山口さんの卒業公演には、卒業した3人と村雲さん以外にも、山口さんに対して「出たいと連絡してくれて、自分の思いを伝えてくれた」現役メンバー6人が姿を見せた。だが、その6人のうち2人がすでにグループを離れている。
村雲さんの卒業発表の動画は、終盤で村雲さんが
「どうぞ最後の日までわたし村雲颯香の応援、そしてこれからのNGT48をよろしくお願いします」
と呼びかけ、全員が「よろしくお願いします!」と声を揃える。だが、再出発は容易ではない。劇場公演再開のメドは明らかになっておらず、現時点でメンバーが情報発信できるのは、「フォトログ」と呼ばれる公式サイト上のブログと、ファン向けの有料メールサービスのみ。メディア露出もきわめて限られている。最近はAKB48がテレビ出演する際はNGT48のメンバーは呼ばれず、個人としての出演も、中井りかさん(21)が「青春高校3年C組」(テレビ東京)、本間日陽さん(19)が「オレたちゴチャ・まぜっ!~集まれヤンヤン~」(MBSラジオ)にレギュラー出演している程度だ。
「2月の下旬から相談」なのに「そのような話は、今のところは来ておりません」
さらに、今回の卒業発表で運営会社のAKSがさらに信頼を失う可能性もある。村雲さんは卒業について「2月の下旬から支配人に相談」と明かしたが、劇場支配人の早川麻依子氏は3月22日に新潟市内で開いた記者会見で、
「(山口さん以外の)他のメンバーから、今回この報告書を見て、この件を受けて活動を辞めたいと、そういった申し出、考えを伝えられたメンバーはいますか」
との記者の質問に対して
「私のところにそのような話は、今のところは来ておりません」
と答弁しており、村雲さんの説明との整合性が問われそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)