2019年7月21日に投開票を迎える参院選も、いよいよ終盤。各党が選挙戦を繰り広げている中、全国最多の6議席をめぐって争われている東京選挙区は、激戦状態となっている。
報道各社の情勢調査や識者の見解をもとに、激戦区の情勢をまとめた。
報道各社→丸川、吉良、山口3氏はいずれも優位
改選定数6に対し、立候補者数は20人。各社の情勢調査などによると、自民現職・丸川珠代、公明現職・山口那津男、共産現職・吉良佳子の3氏はいずれも「他候補を引き離している」という。
残る3議席をめぐっては、激戦の様子。朝日新聞の情勢調査(7月18日朝刊)によると、立憲新顔・山岸一生、自民現職・武見敬三両氏が「やや優位」で、維新新顔・音喜多駿、立憲新顔・塩村文夏両氏が「激戦を繰り広げている」と伝えた。国民新顔・水野素子氏は「激しく追う」という。
産経新聞がFNNと実施した情勢調査(7月17日産経朝刊)によると、丸川、吉良、山口各氏以下の3議席をめぐって、武見氏と、塩村、山岸両氏が「続き」、音喜多氏が「激しく追い上げる展開」と伝えた。れいわ新選組新人・野原善正、NHKから国民を守る党新人・大橋昌信、水野、社民新人・朝倉玲子の各氏らについては、「伸び悩んでいる」という。
JX通信社の米重克洋代表が、16日にヤフーニュース個人で配信した、同社情勢調査の記事では、丸川、吉良、山口、武見の4氏が「リード」と伝えた。その後に塩村、山岸両氏が「続き」、音喜多氏が「激しく追い上げている」と報じた。野原氏は「その後に続いている」とし、水野、朝倉氏らは「支持が広がっていない」という。
各社の調査によって、優位となっている3人以外の候補者順位は分かれている。
残る3議席は? 識者に聞いてみた。
激戦の東京選挙区だが、識者はどう見ているか。政治評論家の有馬晴海氏は19日、J-CASTニュースの取材に対し、「(丸川、山口、吉良各氏の)3人はネームバリューや組織で間違いないだろう。前回、丸川氏はトップ当選して106万票取った。少し発言についてはあるが、語気の荒いことを言うのがあの人の持ち味。東京オリンピック・パラリンピック担当大臣をやった功績の方が大きく、そういう意味では前回以上に取ってもいい。山口氏と吉良氏は前回と今回も同じぐらいだと思っているが、ほかの人たちは50万票ぐらいしか取れないのでは」と分析する。
残りの候補者の情勢について有馬氏は、「少し投票率が低く、全体的に票が上積みできない。武見氏、塩村氏、山岸氏と基本的に続くと言われているが、音喜多氏が出てきた。れいわも伸ばしている。塩村氏は4位という話があったが6位に落ちるかもしれず、音喜多氏に負けるという話も出てきている。4~8位ぐらいで団子レースが起こっている」と見解を示す。
「前の世論調査を見るとばらつきが出てきて、これまで(当選)圏内と思われた人が案外そうでもないようになって、我々専門家もかく乱されている。1週間前の世論調査などを見ると全然流れが変わってきて、判断がつかない」とした有馬氏は、現時点での4位以降の順番について「非常に難しい」と前置きしたうえで、
「躍進しているのは山岸氏。演説がうまく、記者出身だから野党にぴったりで追及型という。その次は武見氏、塩村氏、音喜多氏、水野氏、れいわ(野原氏)も入れると9位。だが正直に言って、5番目から6番目は悩んでいる」
と語った。
山岸氏の情勢については、「安定的に『この人にしよう』という人が少し出てきたと思う」と分析。ほかの候補者については「1週間ほど前の世論調査が参考になっており、(上位3候補以降は)武見氏、塩村氏、音喜多氏と言った。その調査が頭に残って、音喜多氏がいくような気もするが難しい。この1週間で相当(流れは)入れ替わっている可能性があり流動的という感じなので、本当に僅差で順番が決まるのでは」と推測していた。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)