日本の有権者の6割超が国会や政党を信頼せず、半数近くが日本の将来を悲観視しているとする世論調査の結果が2019年7月16日に発表された。
こうした傾向は20~30代の若者の現役世代に顕著で、この世代では3分の1~4分の1が、投開票日が7月21日に迫る参院選の争点について「わからない」と答えた。政治参加の意欲の低さと表裏一体の関係になっている可能性もありそうだ。
20、30代では代表制民主主義「信頼しない」が「信頼する」上回る
調査は「言論NPO」が5月から6月にかけて全国の18歳以上を対象に訪問留置回収法で行い、有効回答数は1000だった。総じて、若年層を中心に、民主主義という仕組みそのものや、政党や国会に対する信頼や期待感の低さが反映された。
「日本の代表制民主主義の仕組みを信頼しているか」という問いには、「信頼している」が32.5%、「信頼していない」が24.4%、「どちらともいえない」が24.6%いた。全体では「信頼している」が「していない」を上回ったものの、20代と30代では逆転した。「信頼している」という回答が最も少なかったのが30代で、14.2%。次に少なかったのが20代で20.2%だった。逆に30代の29.0%、20代の26.0%が「信頼していない」と答えた。
政党への期待感も低い。「政党に課題解決を期待できるか」という問いには、「期待できる」22.0%に対して、「期待できない」が55.2%と過半数に達した。「期待できない」理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのが「政治家や政党は、選挙に勝つことだけが自己目的化し、課題解決に真剣に取り組んでいない」の60.5%。次に多かったのが「政党や政治家に日本の課題を解決する能力を感じない」が42.6%だった。
特に20代、30代で政党に対する不信感が強く、「期待できる」が最も少なかったのが20代の13.4%。次が30代の15.6%だった。逆に「期待できない」が最も多かったのが30代の62.2%で、20代の54.6%が続いた。
「信頼していない」割合、「メディア」は56%超
およそ半数が日本の将来に悲観的だ。「日本の将来をどのように見ているか」という問いには、「楽観的である」が30.9%に対し、「悲観的である」が47.2%。「悲観的である」と答えた人に理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのが「急速に進む高齢化と人口減少に有効な対策が見えない」の79.2%で、「社会保障や年金が安心ではなく、自分の人生の将来が不安」52.5%が続いた。
こういった状況は参院選の争点にも影を落としている可能性もある。「今回の選挙では何が問われているのか」という問いに対する答えで最も多いのが「日本の将来」の34.0%。「消費税」(20.3%)「安倍政権の評価」(19.3%)が続き、「わからない」と答えた人も19.0%いた。世代別に見ると、20代未満と20代で「わからない」と答えた人が最も多く、それぞれ40.0%、33.6%を占めた。30代では、最も多かったのが「日本の将来」の35.8%で、次に多かったのが「わからない」25.7%だった。
この世論調査では「日本のどの機関を信頼しているか」という質問もしている。最も「信頼している」の割合が高かったのが「天皇・皇室」の87.1%で、「自衛隊」77.0%、「警察」71.6%が続いている。逆に「信頼していない」の割合が最も高かったのが「宗教団体・組織」の69.4%で、「政党」67.6%、「国会」60.4%、「メディア」56.6%が続いた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)