ネット通販のレビューの信頼性を見抜くサクラ発見器だとうたったサイトが公開され、関心を集めている。
その信頼性は未知数だが、開発者でIT企業のSEという人物に話を聞いた。
「サクラ存在率は80%です」などと表示
「サクラ存在率は80%です」。2019年7月10日に開設された「サクラチェッカー」で、あるUSB充電器を検索すると、こんな結果が表示される。
開発者だというユウさんは、40代の男性でIT企業の採用担当者もしているといい、その経験を生かした転職サイト「ぶっちゃけ面接官」も運営している。
ツイッター上などの説明によると、今回のサクラ発見サイトは、PCパーツの購入でだまされることも多くなったため、自己防衛も兼ねて開発を思い立ったという。
まずは通販最大手のAmazonに特化しており、商品のURLをコピーして、サイト上の検索欄に貼り付けて使う。検索すると、サクラ度の分析結果も示される。前出のUSB充電器では、レビューの日付や評価の分布などに偏りが見られるとされ、これらの要素が「危険」と診断された。
また、「信頼性の高いレビュー」も紹介され、このレビューでは、商品紹介で急速充電をうたっているが、実際にはそうならないと書き込まれていた。
サクラチェッカーは、様々な項目から分析しているという。具体的には、価格やショップの地域、レビューの日付、レビュー本文の日本語の怪しさなどだとした。
ユウさんは、「かなりの精度で見抜きます」とツイッター上でPRしながらも、検索のスピードが遅いので、改良していきたいとしている。今後は、楽天、Yahooショッピングなどの通販サイトにも対応できるようにしたいそうだ。
アクセス集中で動作はまだ不安定
サクラチェッカーについては、はてなブックマークが700件以上も付く反響を集め、ツイッターなどに様々な意見が書き込まれている。
好意的な向きとしては、「これいいな!!」「Amazonで何か買う時に参考にしよう」「こういうので牽制していくの良いね!」といった声が出た。一方で、「このサービス自体の信頼度が不明」「本当に機能するんかね」「イタチごっこになる」などの声も漏れていた。
J-CASTニュースの記者が16日、3日前にAmazonで約1万1000円で購入した外付けハードディスクドライブについて試しに検索すると、90件ほどあるレビューについては、サクラ存在率が20%で、サクラ度の分析結果も、主な項目は「安全」と診断された。信頼性の高いレビューでは、容量の一部が使用済みの不具合が出たが、交換してもらった後は問題が解決したと書かれていた。
ただ、レビューが1800件以上あるシェーバーの洗浄液については、検索しても表示が遅く、3時間ぐらい経ってもダメだった。
ユウさんによると、7月15、16日のAmazonプライムデーを目標に、3か月ほど前から土日返上で開発してきた。そのためには、フェイスブックで非公開のAmazonレビューグループに潜入して、サクラの実態調査もしたそうだ。
ただ、機能などもまだ不十分だといい、サイト上では、16日昼過ぎ時点で、「現在アクセス集中につきシステムが不安定です。順次対応していきます」と注意も書かれていた。
開発のきっかけについて、ユウさんは16日、取材にこう答えた。
「対策は出来ないと思います」と自信
「高評価のワイヤレス充電器を購入したら、全然充電しなくて困ったり、高評価のUSBディスプレイアダプタを購入したら3日で壊れたりとAmazonレビューが信じられなくなったのでサクラチェッカーを開発しました。レビューが1000件あったりすると読むのも面倒で、Amazon側の製品ページではデフォルトで低いレビューがあまり目立つような表示ではなく今までは合計点数だけみて購入して失敗していました」
サクラチェッカーの使い方については、こう説明する。
「私も嫁も買いたい商品は必ずサクラチェッカーで調べています。0%だと安全、20~40%だとサクラチェッカーで抽出した『信頼性の高いレビュー』『注意喚起レビュー』などをしっかりみます。それ以上だと買わないですね。『食べログの3.5以上はおいしい』というのは有名ですが、『サクラチェッカー60%以上は危険』というのも浸透できると良いなと思っています。また直近で『同一カテゴリで信頼性の高い商品』を表示する機能を作っているので、ユーザーがもっと簡単に同一カテゴリで、サクラのいないちゃんとした製品を購入しやすくしたいです。(Chrome拡張機能・スマホアプリなども開発を検討しています。)」
発見器への対策を取られ、イタチごっこになる可能性については、こう言う。
「あまり詳しくは言えないですが、対策は出来ないと思います。理由は色々ありますが、一例としては例えサクラレビューアーを雇っている業者でも低いレビューを削除することが出来ないからです。サクラレビューアーのFacebook非公開グループなどでサクラバイトを雇っている販売者側の苦労も確認しているので、彼らの痛いところをつくことは出来ていると思います。潜入調査して良かった点の一つですね」
今回の開発による反響については、次のように明かした。
「『すごい。』『どうやっているの?』『面白い』『こういうのを待っていた』『購入するのに役立った』などの好意的な声が多いです。あとは自分の持っている製品や欲しかった製品を念のためにサクラが0%なのを確認し、安心している方などもいますね。プライムデーを目標に開発したので、何とか7/10にリリースできたばかりですが皆様のおかげでバズったので、7/15には1日1万人以上来て頂き、本日はさらに倍程度来ていただいています。アクセス集中でサービスが正常に提供できていないのは申し訳ないです」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)