原巨人が独走態勢に入った。巨人は2019年7月15日、長野オリンピックスタジアムでヤクルトと対戦し、延長の末、7-4で勝利した。4-4で迎えた延長11回、亀井善行外野手(36)の2ランなどで3点を挙げ逆転に成功。4時間33分の激闘を制して4連勝し、貯金を今シーズン最大の「18」とした。2位DeNAと阪神とのゲーム差を10.5ゲームまで広げ、早ければ7月18日にも優勝へのマジックナンバーが点灯する。
先発が崩れても試合が壊れない。現在の巨人の勢いを象徴するようなゲームだった。先発・桜井俊貴投手(25)が5安打4失点で4回途中降板。ヤクルトに逆転を許して悪い流れに傾きかけたが、2番手・鍵谷陽平投手(28)が後続を断ち、流れは再び巨人へ。鍵谷以降、6人の投手で繋ぐ小刻みな継投策でヤクルト打線に得点を与えず、延長戦での勝利をものにした。
ファームで燻ぶる8億円助っ人
交流戦に入ってから広島、阪神の失速をよそに、快調に白星を重ね貯金を殖やしてきた。首位固めに入る後半戦に備え、補強策に抜かりなく、交流戦後、2度のトレードで3人の投手を獲得。6月22日にはメジャー通算26勝のルビー・デラロサ投手(30)が加入。そのデラロサはこの日、4番手として来日初登板し、3安打を浴びながらも1イニングを無失点で切り抜けた。
シーズン中のトレード、そして新外国人獲得。5年ぶりのV奪回へ積極的な補強策で盤石な体制を敷く原巨人。その一方で、補強のあおりをくってファームで燻ぶる選手も。デラロサの加入により、一段と出場機会が減りそうなのがアレックス・ゲレーロ外野手(32)だ。打撃不振で6月19日に2軍降格となり、ファームでの調整が続いている。約1カ月間、1軍での出場がないゲレーロだが、関係者の間では早くも今オフの「リストラ」最有力候補に挙がっている。
デラロサが加入したことで4つある外国人枠はすでに「満席」状態。加えて外野手を見渡せば、センターには不動の丸佳浩(30)、レフトはこの日2ランを放ち、改めて存在感をアピールした亀井がいる。ライトの陽岱鋼(32)は打率3割台をキープしており、ゲレーロが入り込む余地はない。守備固め要員として起用可能なクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)とは異なり、守備面で劣るゲレーロは打てなければその存在価値は薄れ、しかも2年総額8億円(金額は推定)の高額年俸が大きなネックとなる。
「オフには大きな動きがあると思います」
ゲレーロ同様にファームでの調整が続く岩隈久志投手(38)もまた、今オフの去就が注目されるひとりだ。2017年9月に右肩のクリーニング手術を受け、18年シーズンはメジャーでのマウンドに上がることなく、昨オフ巨人入り。入団当初、6月以降の実戦マウンドが見込まれていたが、ここまで実戦登板はなく、現時点で7月中の復帰のメドはたっていない。このまま右肩が回復せずにシーズンを終えれば、厳しいオフとなりそうだ。
在京球団関係者は巨人の現状に関して「原監督の補強策にはいろいろと批判もありますが、ここまでの結果を見れば成功している。オフに打線の核となる野手を補強し、シーズン中には手薄の中継ぎを補強し、理想的な補強をしている。使い切れない選手を抱えていますが、プロの世界ですから結果を出せなければ契約を切られるのは当然のこと。優勝すれば補強もしやすくなるでしょうし、オフには大きな動きがあると思います」と指摘する。
勝利のためには4番のバントも辞さない「鬼采配」を見せ、補強に次ぐ補強で首位固めに入った原巨人。5年ぶりのV奪回に向けて視界は良好だ。