メディアにはびこる「FAX文化」 時代はペーパーレスなのに...なぜ?

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「メディア都合」でファクス止められず

   『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)の著書を持つ野澤直人さんは、ファクスの利点を次のように説明する。

「メディア関係者の手元に届いた時に、リリースのタイトルと1ページ目の内容がダイレクトに目に入ることがファクスのメリットです。郵送の場合は開封しないとリリースの内容がわかりませんし、メール添付の場合は、メールの件名は見られますが、それ以上の情報を見るには最低でもワンクリック必要です」

   野澤さんは「ファクスで大量のリリースをやりとりするのは、紙という資源の無駄遣いですので、本当はやめたほうがいいのかもしれませんが...」としつつ、メディア側の事情もあって"紙離れ"は難しいと見る。

「特に新聞や雑誌といったメディア側はファクスでの送付を受け入れています。理由を想像しますと、(1)新聞や雑誌など紙媒体の方々は、普段から紙に接する機会が多いので、紙で受け取るファクスのリリースが感覚的にしっくりくる(2)昔からずっとファクスでリリースを受け取っているので、そのやり方に慣れている。違和感を覚えない。やり方を変えるのが面倒――が考えられます」

   全国紙、ブロック紙、スポーツ紙の元記者に事情を聞くと、いずれもファクスは学生アルバイトか新人記者が取りまとめ、必ずデスクが目を通す。あるスポーツ紙では、ファクスは一日に「とてつもない量」届き、通信社からの記事や"特ダネ"も紛れているため、こまめに確認する必要があるという。

   一方、ウェブメディアなどを展開する「アイティメディア」は13年に、ファクスでのリリースの受け取りを廃止し、メールでの一本化に踏み切った。

   当時の発表文では、「FAXは1通あたりA4用紙3枚以上必要なものがほとんどな上、複数の担当者宛に同じ内容のものが社内で10通以上届くことも珍しくない。そのため、印刷されるFAXの多くが使われず、ゴミになってしまうという実情があった」などと説明している。

   最近では、受信したファクスをメールやチャットで受け取れる複合機も登場している。アイティメディアと"同憂の士"であるJ-CASTも、そろそろファクス文化を点検するタイミングかもしれない。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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