2019年7月10日、国交省は大阪・キタの中心地、梅田と関西国際空港を結ぶ新路線「なにわ筋線(7.2km)」の鉄道事業を許可した。
「なにわ筋線」の開業により、梅田~関西空港間の所要時間は20分短縮され、最速40分になるという。一方、「なにわ筋線」の開業の裏で廃線が心配される路線もある。今回は様々な角度から「なにわ筋線」を考えてみたい。
JR西日本と南海が乗り入れる
「なにわ筋線」はJR大阪駅北側で工事が進められている「北梅田駅(仮称)」とJR難波駅、南海新今宮駅を結ぶ全長7.2kmの鉄道路線だ。JR難波駅、南海新今宮駅からそのまま関西空港駅に乗り入れる。つまり「北梅田駅」では関西空港方面へ向かうJR、南海に乗車できることになる。現在、梅田~関西空港間の所要時間は約1時間だが、「なにわ筋線」が開通すると最速約40分に短縮されるという。総事業費は3300億円で2031年春の開業を目指す。
「北梅田駅」~JR難波駅、南海新今宮駅間には「中之島駅(仮称)」「西本町駅(仮称)」「新難波駅(仮称)」が開業する予定だ。「中之島駅」が京阪中之島線との接続駅になれば、京阪沿線から関西空港へのアクセスも格段に改善されることだろう。
大阪市内を走る路線とは思えない閑散
「なにわ筋線」の認可に沸く一方で、廃線が心配される路線もある。それが大阪市内を走る南海汐見橋線(汐見橋駅~岸里玉出駅)だ。正式には高野線の一部だが、現在は「汐見橋線」として扱われている。大阪市内にある路線だが、平日朝ラッシュ時間帯でも30分間隔だ。汐見橋駅~岸里玉出駅間を2両編成の電車が行ったり来たりしている。
南海の資料によると、2017年度における1日平均乗降客数は最も少ない駅で木津川駅123人、これに次ぐ芦原町駅も192人しかいない。これは高野山に近い高野線の学文路駅や九度山駅よりも少ない。筆者も汐見橋線に乗車したが、平日の日中であっても汐見橋駅は閑散としていた。岸里玉出行きの車内は両手で数えられるほどの利用客しかなく、とても大阪市内を走る路線とは思えなかった。
一時期、汐見橋線が「なにわ筋線」に活用される計画案もあったが、今回の認可により、同線が関空アクセスを担う可能性は完全に消滅した。一部の鉄道ファンから注目されている汐見橋線だが、今後はどのように推移するのだろうか。
(フリーライター 新田浩之)