日本人の人口が過去最大の減少幅を記録する中、毎年1万人のペースで増え続けているのが福岡市だ。総務省が2019年7月10日に発表した、1月1日時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査の結果でも、全国の市や区のうち最も日本人の人口が増えたのは福岡市だった。
福岡市内の総生産のうち約9割がサービス業などのいわゆる第3次産業で、働く人が増えることが税収増に直結する。このことを背景に、市税収入は6年連続で過去最高を更新する見通しだ。ただ、福岡「県」を含め、九州7県の人口は減少しており、ますます一極集中が進んでいる。
働く人増えて個人市民税、企業儲かって法人市民税が...
人口動態調査の結果によると、国内の日本人は前年比43万3239人減の1億2477万6364人だった。減少は10年連続で、減少幅は1968年の調査開始以来、最大だった。都道府県別にみると、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県以外は人口を減らしている。91.4%にあたる1億1402人万3312人が、「町村部」以外の「市区部」に住む。そのうち8割以上の自治体で人口が減っている。九州でも、福岡市以外の全ての政令指定都市と県庁所在地で人口を減らしている。
そんな中で、福岡市の人口は1万10人増の人に。増加数は全国で最も多かった。ゲーム開発会社の「レベルファイブ」、ウェブサービスの「ヌーラボ」やLINEの第2拠点など、情報通信産業で新たに福岡市に拠点を置く会社も多い。このことを背景に、福岡市はエンジニアの移住も後押ししている。
この影響は税収にも出ている。福岡市は7月9日、18年度の市税収入が前年度よりも392億1700万円上回る3325億9700万円になる見通しになったと発表。6年連続で過去最高額を更新した。市内で働く人が増えて個人市民税が、企業の収益が改善したことで法人市民税が増収になった。高島宗一郎市長は記者会見で、
「ビジネス環境がどんどん良くなってきている。そのプラスのスパイラルに入ってきているのでは」
などと話した。