「『待ってくれ、乗れない』は私たちにとって重い意味を持つ」
乗車を拒否された車いすユーザーの酒井さんは、取材に対し「約50分待たされ、松波さまの授業にゲストスピーカーとして呼ばれているにもかかわらず遅刻しそうになり、駅には時間通り到着していたのに、という腹立たしさと申し訳なさ、運転士への失望感を覚えました」と複雑な胸中を明かす。その上で今回の乗車拒否を受けてこう話す。
「百歩譲ってスロープ設備がない車両なら『乗れない』のは分からないでもありませんが、スロープ設備があり、『物理的に乗れる』にもかかわらず、予め決められたノンステップ・ワンステップバス時刻表に縛られて『乗れない』としたのは運転士、バス会社、そして今の社会が無意識にもっている差別意識かなと考えます。職員研修や考え方の刷新を求めたいです。
駅員やバス会社は私たちに対して平気で『待ってくれ』と言います。でも同じように駅員等の支援が必要な外国人や高齢者のひとにそんな発言してるところは見たことないです。つまり、外国人や高齢者は客の対象として捉えているのに、極論で言えば障害者は客として認識されていないのか、と最近思っています。『待ってくれ、乗れない』などの発言は私たちにとって、発した人が思うより重い意味を持つのです」
酒井さんと松波さんは取材の後日、帝産湖南交通から説明と謝罪を受けたという。