最近トレード多くない? 楽天・石井GM「メジャー流」発想との関係

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   日本球界のトレードが活性化している。今シーズン7月9日現在、シーズンに入ってからセ・パ両リーグ間で成立したトレードは6組で、ここ5年間で最多となるトレードが成立している。ペナントレース後半戦に向けて、交流戦終了を機にトレードが急増しており、トレード締め切りとなる2019年7月31日までにあと何組のトレードが成立するか。リーグ優勝、ポストシーズン進出を目指す各球団の補強がいよいよラストスパートに入る。

   ここ最近、球界のトレードの話題が多いと感じている野球ファンは多いだろう。今シーズン、シーズン中に成立したトレードのすべてが交流戦後のものなので、多いと感じるのも当然だろう。シーズン中のトレードはチームの情報漏洩の観点から同一リーグによるものは少なく、セ・パの間で成立するケースが多い。今シーズンのトレードもすべてがセ・パ間のものだ。交流戦後にトレードが立て込むのは、以降、日本シリーズまで両リーグによる対戦がないことが大きな要因となっている。

   近年、シーズン中のトレードは確実に増えている。2015年、16年はわずか1組だけで、17年には4組、18年は5組のトレードが成立し、その数字は着実に伸びている。ただ、この数字もMLBと比較するとかなり低いものだ。球団数が日本の倍以上となる30球団あるMLBと単純比較は出来ないが、シーズン中も頻繁にトレードが行われ、トレード締め切り当日の7月31日には、一日だけで10組以上のトレードが成立するケースも見られる。

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ヤンキース、マリナーズ間では超大物と若手のトレードが

   シーズン中のトレードが増加の傾向にあるNPBだが、その数を含めMLBとどのような相違があるのだろうか。J-CAST編集部は、日米の球団で職員を務めたプロ野球関係者に話を聞いた。

「メジャーではこの時期になると、勝ち組と負け組がはっきりしてきます。ここで球団の編成方針が明確になり、トレードが行われます。プレーオフ、ワールドシリーズの可能性があるチームは大きな補強に走り、下位のチームは来年、再来年に向けてのチーム編成に着手します。ですから、メジャーではこの時期に下位のチームが主力選手を放出し、代わりにマイナーなどから将来有望な若手を獲得するケースが多く見られます。1人の主力に対して複数の若手というトレードは頻繁に行われます」(関係者)

   MLBの象徴的なトレードといえるのが、6月15日にヤンキースとマリナーズの間で成立したトレードだろう。地区制覇を狙うヤンキースは、7年連続30本を超える本塁打を記録し、メジャー通算401本塁打(6月15日時点)のエドウィン・エンカーナシオン内野手(36)をトレードで獲得。一方、ア・リーグ西地区最下位(6月15日時点)のマリナーズは、エンカーナシオンと引き換えに有望株の19歳フアン・ゼン投手と金銭を獲得した。

巨人とのトレードにみる楽天・石井GMの手腕とは

   このようなシーズン中のトレードは、日本ではレアケースで一般的ではないだろう。なぜ日本ではシーズン中に球界を代表するような「主力」と「若手」のトレードが実現しないのだろうか。前出の関係者は次のように話す。

「日本とアメリカの文化の違いもあるでしょう。日本のチームはシーズンの最後まで決して諦めずに優勝を目指すという姿勢を見せます。ですので、チームの主力選手がトレードに出されることは稀です。主力選手を放出すれば、『優勝を諦めた』とファンやメディアから批判されるでしょう。アメリカの野球ファンは、その点でいえば球団の編成方針に理解があり、考え方が前向きです。優勝を諦めてのトレードではなく、2年後、3年後を見据えてのトレードだととらえるので、球団が批判されることはほとんどありませんし、むしろ将来が楽しみになったとするファンが多いです」

   日本では主力級のトレードはあまり見られないにしろ、シーズン中のトレードが増加の傾向にあることは確かだ。前出の関係者は、最近の日本のトレード事情に関して、楽天・石井一久GM(45)の名を挙げて、次のように言及した。

「石井GMはメジャーで経験したものを日本球界に積極的に取り入れていると感じます。先日の巨人とのトレード(巨人・和田⇔楽天・古川)も批判覚悟の上でのものだと思います。将来有望な投手と野手をトレードするわけですから。ポストシーズンを見据えての補強だと思いますが、これはまさにメジャー的な発想でしょう。石井GMらしいと感じました。今後、色々な面で石井GMが日本球界を変えていくと思います」

   トレードの締め切りは7月31日まで。この数日間でどのようなドラマが生まれるのだろうか。日本のプロ野球から目が離せない。

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