人気バーチャルYouTuber(VTuber)のグループ「ゲーム部プロジェクト」の「声」が、わずかに変わっているとファンを不安にさせている。
ゲーム部プロジェクトは夢咲楓・桜樹みりあ・道明寺晴翔・風見涼の4人の高校生VTuberのグループだが、この2019年6月から7月にかけて、そのうち桜樹みりあと道明寺晴翔の声が変わったと視聴者の間で話題になっている。
「魂が変わった」とファンが驚くくらい、声が変わったことはVTuberのアイデンティティにかかわることだったようだ。
4人のうち2人の声が変わる?
ゲーム部プロジェクトは18年3月に動画投稿を開始した。4人は「ゲーム好きの高校生」という設定で、ゲーム実況を中心に動画を投稿し続けているが、4人のコミュニケーションもまたファンを引き付ける理由だ。しかし同時に、ゲーム部プロジェクトはUnlimited(東京都品川区)がプロデュースする、れっきとしたキャラクタービジネスでもある。
「ゲーム部」をめぐっては19年4月上旬、実際の声優とみられるツイッターアカウントが「パワハラ」を暴露し、Unlimitedが「特に声優スタッフを軽視する様な言動が、声優スタッフに精神的な苦痛を与えておりました」などと発表する事態が起き、ファンからは運営への不信感も出ていた。
「声が変わっているのではないか?」とざわついたのは、19年7月7日投稿の「好きな人より背が低い男ってどう思います?」という動画で、道明寺晴翔の声が以前と違うのではないかと指摘する視聴者が現れた。その前にも19年4月24日投稿の「ガチ勢パーティを半壊させる"レベル1トゲデマル"爆誕」という動画で桜樹みりあの声が、それまでと違うのでは? と指摘されていた。
これらの「声変わり」についてJ-CASTニュースは、本当に担当スタッフが変更になったか否かをUnlimitedへ7月11日に取材したが、12日18時現在、回答は得られていない。ファンからは
「みりあとハルカス(註:道明寺晴翔の愛称)の声が変わってよく分からないけどぽっかり穴が空いた気分になりました」
「VTuberの中身ってただの声優じゃあないんだよね。そのキャラの魂として動くから魅力なんだし」
「中の人変えちゃいかんだろ.........外見が同じでも魂が別ならそれは別人よ.........」
といった落胆が生じている。
スタッフ交代は「魂が変わる」のと同義
キャラクターに携わる「中の人」を「魂」に例えるのは、VTuberに独特の傾向だ。ファンにとって、VTuberは実在の人間でないとしても、キャラクターとスタッフを同一視する。キャラクターと表裏一体で、黒子に徹する人物の存在があるからこそ、VTuberが独立した人格を持って、動画の中で生きられる。
実のところ、桜樹みりあ・道明寺晴翔の現在の声はともに、以前からの声に似ている。それでも細かな声色の違いに視聴者は気付き、少なからずショックを受けていた。前述のように運営側への不信感が募っていた中での動きに、戸惑いを隠せないファンは少なくない。一部ではゲーム部の「解散」を危ぶむ声すら出ている。
バーチャルな世界のはずが現実を見せつけられた上、仮に「中の人」が入れ替われば、それはVTuberの人格が変わったように視聴者は感じ取ってしまう。アニメ・ゲーム・ボーカロイドとも異なる、キャラクターと中の人の独特な関係を、ゲーム部プロジェクトをめぐる騒動は示している。