「逃亡犯条例」の改正案をめぐる抗議活動が続く香港で、日本でも有名なスポーツ飲料「ポカリスエット」が「爆買い」される動きが広がっている。
デモをめぐる報道が中国寄りで「親中派」だと受け止められているテレビ局への広告出稿の取りやめが歓迎されたためだ。ポカリスエットを販売する大塚ホールディングス(HD)の現地法人は、フェイスブック(FB)での問い合わせに対して出稿中止を決めたと返信。その画像だとされるものがネット上に拡散された。ただ、この動きは中国大陸側では反発を呼んだ。このことも背景に、大塚HD側はFBの返信で「ご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする」とする声明を出した。
「現時点での状況を踏まえて」
今回の抗議活動では、有力テレビ局の無線電視(TVB)の報道が中国寄りだとして批判が相次いでおり、中国国営の中央テレビ(CCTV)にちなんで「CCTVB」と揶揄する向きもあった。
そんな中で、あるネット利用者が大塚HDの現地法人のFBのページに、TVBへの広告を続けるかを質問するメッセージを送ったところ、大塚側は
「現時点での状況を踏まえて、先週、TVBの放送局への広告を引き上げることを決めており、他のTVBのプラットフォームへの広告も引き上げを要請することにしている」
などと返信した。この画像が拡散し、「ポカリ大好き」「ポカリ支持」といった声が続出。現地メディアによると、ポカリが売り切れるコンビニやスーパーも出ていた。
一方で、中国からは「もう飲みたくない」といった声も出た。中国・広州を拠点にするアイドルグループ「GNZ48」の運営会社は7月10日午後、中国版のツイッターにあたる微博(ウェイボー、Weibo)の公式アカウントで、「国家の平和と安定に影響を与える一切の行為に反対する」として、大塚側の決定を「きわめて遺憾」だと批判。大塚側との協力を打ち切ることを表明した。
「営業政策の一環。政治的意図はない」
大塚HDの現地法人は7月10日夜、FBで
「7月9日付の返信でご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする」
などとする声明を公開した。事態の鎮静化を図ったとみられる。
東京の大塚HDの広報部では、TVBへの出稿取りやめについて、
「営業政策の一環。常に、より効果的な方法を追求しており、政治的な意図を持ったものではない。そういった部分が伝わらなかった面もあった」
などと説明。FBの声明では今後の出稿予定について触れておらず、東京の担当者は「今後の予定は未定」と話している。
7月11日未明には、人民日報系の環球時報もTVB問題を報道。それによると、TVBの広報担当者は
「(大塚側は)発言でデモ隊を喜ばせようとしたのかもしれないが、こういったやり方は暴力に屈するのと同じだ」
などとして、広告中止に「遺憾」の意を示したという。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)