問われる「挑戦者の資格」
2018年3月に行われた山中氏との再戦で体重超過の失態を犯し王座をはく奪され、無期限資格停止処分(後に6カ月の資格停止処分に変更)を受けた。昨年10月の復帰後は3連勝を飾っており、世界ランキングも1位まで登りつめた。現在のところ復帰後、ネリの体内から禁止薬物が検出されたという事実はないが、VADAによる検査が行われないという事実は、日本のボクシングファンにとっては心外だろう。
現在WBC1位のネリは正規王者への指名挑戦権を有している一方で、WBCバンタム級は、正規王者ノルディ・ウーバーリ(32)=フランス=と暫定王者・井上拓真(23)=大橋=の王座統一戦が義務付けられている。ただ、過去の例から見ても指名挑戦権を持つネリ陣営が横やりを入れ、WBCがネリ戦を優先させる可能性はゼロではない。
WBCタイトル戦にしろ、将来的な井上尚弥戦にしろ、いずれにしてもパヤノ戦での勝利が大前提となる。しかし、VADAの検査なしで行われるパヤノ戦は、日本のボクシングファンをはじめ、ボクシング関係者の信用をも失いかねない。「問題児」ネリが「モンスター」に挑むならば、改めて「身の潔白」を証明し、WBCのベルトを巻く必要がある。そうでなければ、ネリに「挑戦者」としての資格はないだろう。