イタリア・ナポリで開催されている「ユニバーシアード夏季競技大会 2019」の7人制ラグビー(現地時間7月7日に決勝トーナメント)が行われ、日本代表男子、女子が、そろって金メダルを獲得した。
ユニバーシアードは、学生を対象とした国際総合競技大会で2年ごとに開催される。ラグビーが実施されたのは、2013年のカザン(ロシア)大会以来2度目。同競技で、日本がメダルを獲得したのは初めて(前回は男子6位、女子9位)。しかも、男女そろっての金メダルは、来年に控える東京五輪への大きな追い風となりそうだ。
「鬼ごっこ」的なキツいスポーツ
まず「7人制ラグビー」だが、多くの方には馴染みがないかもしれない。通常のラグビーは15人制(ユニオン)。40分ハーフで行うが、7人制(セブンズ)の場合は、基本的に7分ハーフで行われる(カップ決勝等は10分ハーフの場合もあり)。夏季五輪では、2016年のリオから採用され、20年の東京五輪でも行われる。
サッカーに例えるなら「フットサル」に近い感覚かもしれない。しかし、フットサルはピッチサイズが11人制よりも小さくなるが、7人制ラグビーの場合は15人制と同じグラウンドサイズ。それをFW3人、BK4人の計7人で攻め、7人で守る。時間こそ短いが、1発、抜かれたら終わり...。コンタクトプレーが重視される15人制に比べ、ランニングプレーが重んじられる「鬼ごっこ」的競技である。
今回の同大会には、男女とも8チームが参加した。
男子日本代表は、順当に予選を勝ち進み、
・準決勝=ロシア戦 14-0(前半0―0)
・決勝=南アフリカ戦 15―12(前半5―0)
続いて女子も、
・準決勝=ロシア戦 31―12(前半26―5)
・決勝=フランス戦 33-7(前半21-7)
男女とも「史上初」となる優勝を飾った。
「どこの国よりも走り、きつい練習をしてきました」HC、主将からも喜びの声
日本ラグビーフットボール協会(JRFU)は、男女「金メダル」獲得を受け、HC(ヘッド・コーチ)や選手のコメントを発表した。
■男子日本代表 鈴木貴士HC
「ユニバーシアードで金メダルを取れたことを大変嬉しく思います。また、最後の最後まで戦い抜いてくれた選手を誇りに思います。この素晴らしい経験をしっかり次に活かしてもらいたいです」
■男子日本代表 仁熊秀斗 共同主将
「どこの国よりも走り、きつい練習をしてきました。その結果が金メダルという形になり、とても嬉しいです。私たちのゴールはオリンピックで結果を残すことなので、このメンバーの中から1人でも多くオリンピックの代表に入り、結果を残したいと思います」
■男子日本代表 南昂伸 共同主将
「今回は共同キャプテンをやらせていただいて、このチームのキャプテンができて本当によかったです。パリ2024オリンピックに向けてこのユニバーシアードをスタートとして、頑張りたいと思います」
■女子日本代表 稲田仁HC
「今大会では、チームとして目標としていた金メダルを獲得することができて非常に嬉しく思います。試合を重ねるごとに、リーダーを中心にチームとしてまとまり、一人ひとりの選手が強みを最大限に発揮できたことが今回の結果につながりました。今大会の結果を大きなエネルギーにし、さらに大きな目標である東京2020オリンピックでのメダル獲得に向けて成長のスピードを上げていきたいと思います」
■女子日本代表 平野優芽主将
「6月の定山渓(札幌市)合宿から始まり今大会まで、『人とボールが動き続けるラグビー』を目指して取り組んできました。試合を重ねるごとにチームとして成長することができ、最後には日本ラグビー界初めての世界大会での金メダル獲得という結果を残せることができとても嬉しく思います。この結果に満足することなく、『東京2020オリンピック』でのメダル獲得に向けてさらに頑張っていきたいと思います」
ラグビーW杯2019日本大会は、9月20日に開幕する。秋のW杯は15人制ラグビーの大会だが、翌年に行われる東京五輪では7人制ラグビーが行われる。どちらからも、目が離せない。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)