「平成生まれだったら、〇〇って知らないんじゃない?」
「若い人は知らないと思うけどさ...」
ありとあらゆるハラスメントが問題視されている昨今、ひょっとしたら、こんなやりとりも「ジェネレーションギャップ・ハラスメント」、略して「ジェネハラ」につながるかもしれない――ギリギリ昭和生まれの筆者は、ふと気づいて背筋が凍った。
「活字離れ」「ゴルフ離れ」「飲み会離れ」も同様
そもそも「ハラスメント」とは何だろう。広辞苑第7版は「人を悩ますこと。地位や立場を利用した嫌がらせ」と定義している。日々のやりとりを「嫌がらせ」に感じるかどうかは、受ける側の判断にゆだねられる。相手が不快に感じれば、それはハラスメントに違いない。
「最近の若い者は」とひとくくりにされたり、「活字離れ」「ゴルフ離れ」「飲み会離れ」などと言われたりした時に、差別とまでは思わないにせよ、若干カチンと感じたことはないだろうか。私なんかは、仮に上司から「最近の人たちは、クルマに興味ないよね」と言われても、「買う余力がないですからね。もっと手厚い支援をお願いします」などとあしらえるが、イラつきながら何も言えない人も多いだろう。
ネットでは改元に前後して、生まれた元号をもとにしたハラスメントも話題になった。「昭和生まれだから」「平成生まれだから」と大雑把にまとめられ、「だからダメなんだ」と言い捨てられる。改元から2か月たって、元号ハラスメントは沈静化したようだが、世代間ギャップに苦しむ声は投稿され続けている。
ジェネハラが怖いのは、一般的な「上から下へ」のパワーバランスに限らず、逆もまたしかりな所だ。若手からの「そんなのも知らないんですか?」「その考え方、時代に合わないですよ」といった突き上げも、年長者が「嫌だ」と思えば成立しうる。