決算自体は「悪くない」にもかかわらず...
これ以降、代購ルートによる中国への「輸出」は減ってはいたが、少なくとも壊滅にはいたっておらず、日本メーカーには楽観視する見方も出ていただけに、法規制が半年経ったところで取り締まり強化が打ち出されたことが株式市場にネガティブな驚きを与えることになったようだ。
通期が12月期の資生堂は、5月14日に2019年1~3月期連結決算を発表している。その内容を確認し、年初からの影響を見てみよう。売上高は前年同期比3.7%増の2736億円で伸び率は前年同期(13.5%)から鈍化。営業利益は前年同期比17.4%減の389億円、経常利益は16.3%減の395億円とそれぞれ減益に転じ、純利益は16.1%増の335億円だった。営業・経常減益の主因は世界各地でマーケティングコストが上振れしたことだった。
決算についてアナリストの評価は「1月に中国でEC法が施行されてバイヤーの活動が停滞した影響や、生産能力不足による売上機会損失、輸送コスト上昇などがあったが、中国本土やインバウンドなどの売上は引き続き成長が続いており、業績拡大のトレンドが継続していると言えるだろう」(野村証券)などと全体としては悪くないものが多い。
ただ、決算資料によると前年同期(2018年1~3月)はインバウンド売り上げが前年同期比40%超の増加を記録したが、2019年1~3月は前年同期比の伸びが6%に鈍化。このうち一般のインバウンドが10%台半ばの伸びだったのに対し、バイヤーによるものは10%台半ばの減少で、EC法が与えたマイナスの影響は無視できない水準にある。今後、取り締まりが強化されることは十分に株価には重しとなりそうだ。