自民冊子の元ネタ「テラスプレス」、公示後も更新続く 野党批判のトーンそのまま...

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   自民党本部が所属国会議員に配布した冊子「フェイク情報が蝕(むしば)むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」をめぐり、TBS系ニュース番組の党首討論で意見が交わされる一幕があった。冊子に関しては、新聞や他のテレビ局も記事を出しており、ちょっとした注目を集めている。

   冊子発行元とされる情報サイト「terracePRESS」(テラスプレス)については、「運営主体や連絡先が不明」(毎日新聞)と指摘されており、実際にサイトを見ても、運営社(者)に関する情報は見当たらない。「テラスプレス」は、冊子に関する記事がメディアに出始めた以降も、記事更新を数日おきに続けており、参院選公示後も新しい記事を出した。どんな内容なのか、J-CASTニュース編集部が確認してみた。

  • 「terracePRESS」サイトのトップページ
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「news23」の党首討論でも...首相の反応は

   参院選公示の前日(2019年7月3日)夜、「news23」(TBS系)は、与野党の党首(社民は幹事長)7人が討論を行った。この中で、番組はこの冊子を取り上げた。

   「本格的な選挙戦を前にちょっと刺激的な資料が出回っています」

として、自民党本部が「選挙演説の参考に」との案内文をつけて(所属国会議員に)配ったと説明した。小川彩佳キャスターが実物を手にし、表紙にはタイトルの他、国会議事堂の絵や、下部に「terracePRESS」と書かれているのが分かる。目次ページや、「立憲民主・枝野代表の無責任を嗤う」との見出しの記事と、よだれを垂らして視点も定まらない様子の枝野幸男代表の似顔絵イラストが載っているページも開いてみせた。

   安倍晋三首相は「党本部でですね、いろんな冊子を配ってますが、私、いちいちそれを見ておりませんので、全く知らないんですが」と述べた直後、「(冊子の見出しにあるように)無責任だと言えば、無責任だと思いますよ」と野党批判につなげた。小川キャスターは、話を冊子に戻そうとしたが、安倍首相は

「ちょっとねえ、そのマンガ(編注:イラストを含む当該冊子)なんかより、大切なことじゃ...」

と主張した。野党側からは、共産党の志位和夫委員長が「人格をおとしめるようなものを平気で作る。出所不明の文書を自民党の本部として国会議員に配るのですから、選挙をまじめにやる資格がないと言われても仕方ない」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表も「こういう冊子は、やめてくださいよ」と注文をつけた。

   日本維新の会の松井一郎代表は、「出所不明のものを自民党が配るのは大人気ない。横綱・自民が」と述べたが、「大事な参院選挙の党首討論で、出所不明のアレをね、その本をね、TBSが取り上げてやるような話なんかな」と番組側へ疑問も呈した。冊子に関する話は、さして議論も深まらないまま終わった。

ツイッターでは「千代田区」、でもフォロワーは僅少

   この冊子をめぐっては、6月11日に自民党の参院議員のひとりがツイッターで「頂きました」と、冊子の写真を添えて情報発信している。次第にメディアでも注目を集め、たとえば6月21日には「FNN PRIME」(フジテレビ系)サイトが「『トンデモ野党』過激な内容 自民党が配布 謎の冊子」と報じている。毎日新聞(ウェブ版、以下同)も6月29日に「自民党本部が国会議員に配った冊子に物議『まるでネトウヨ』 首相を礼賛、他党やメディア徹底非難」と伝え、「自民が推す『演説用資料』に身内も困惑 発行者の正体は」(朝日新聞、7月2日)という記事も。

   いずれも、「発行元は、正体不明のネットサイトだった」(FNN)、「テラスプレスの運営主体や連絡先は不明」(毎日新聞)と指摘しており、朝日記事では、サイトへのアクセス数がニュースサイトとしては、不自然な程に少ない実態にも言及している。

   テラスプレスのサイトをみると、「terracePRESSでは報道で語られていない事実を皆様に伝えるべく最新のニュース情報をお伝えいたします」とある。運営社(者)に関する記載は見当たらない。広告枠もない。一方、「terracePRESS」ツイッター(サイトからのリンクや公式マークはなし)では「Chiyoda-ku, Tokyo(東京都千代田区)」を所在地として掲載している。ただ、こちらもフォロワー240人と、ニュースサイトとしてはやはり非常に小さな数字だ。

   確認できる初出の記事は、約1年前の2018年7月13日配信の「安倍政権の経済政策で戦後最長の景気拡大を実現へ」だ。目次ページでは、1ページに概ね5記事が表示され、32ページに及んでいる。単純計算すると、150~160本の記事があるようだ。

公示後に「『老後2000万円不足問題』の真実」

   最近の記事を見てみると、数日置きに1本程度の記事を更新している。特段、今回注目されている冊子に触れてはいないようで、従来のトーンで野党批判などを続けている。見出しを並べてみると、

6月26日「尋常ではない立憲候補の『消費税廃止』」
6月28日「噴飯の"日米密約説"」
7月1日「自由貿易の重要性掲げ成功したG20」
7月3日「野党は『恥を知れ!』と喝破した三原じゅん子氏」

といった調子だ。そして7月5日、参院選公示後に初めての記事が更新された。

   見出しは「『老後2000万円不足問題』の真実」。冒頭で、この不足問題が多くの国民の関心を呼んでいるとして、「それはメディアや野党がことさら歪曲してこの問題を伝えているからだ」と、メディア・野党批判を展開している。

   記事の文字数は1400字程度で、締めの部分では「もちろん、高齢者の生活をどのようにしていくのかの議論は必要だ。それをあたかも多くの国民が路頭に迷うような宣伝だけに力を入れる野党の姿勢では、建設的な議論は不可能だ」と、やはり野党に厳しい目を向けている。ただ、冒頭と締めの部分以外は、問題の発端となった金融庁の審議会の報告書をめぐる経緯などを淡々と説明している。末尾には「terracePRESS編集部」の署名がある。

   ツイッターなどには、「terracePRESS」の運営社(者)をめぐって様々な憶測が飛び交っている。

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