旧民主党の公認ゆるキャラで、毒舌でも知られていた「民主くん」が、どういうわけか2019年7月4日に公示された参院選のタイミングで2年ぶりに「再起動」だ。
「政治の殿堂」として知られる憲政記念館で「余生」を送っていたはずだが、その間に民主党の名前はなくなり、党も国民民主・立憲民主とバラバラに。「1強多弱」の現状に、思うところがあったようだ。
「立憲?国民?どうしてこうなった!!」
「民主くん」は15年に民主党(当時)の公認を受けて「ゆるキャラグランプリ」にも出場していたが、16年3月に維新の党と合流して民進党が発足し、党公認を失った。民進党が民主くんに代わるゆるキャラを公募する際、民主くんは大賞受賞者への副賞になっていたが、受賞者は受け取りを辞退。17年3月に憲政記念館への寄贈が決まり、廃棄処分を免れていた。
党公認キャラとしては異例の毒舌で知られていたが、その発信源のツイッターアカウント(@minshu_kun)も、17年5月を最後に更新をストップしていた。
だが、それから2年以上経った19年7月3日、
「はっ!今起きた!」
と覚醒。旧民主党が置かれている状況に思いをはせた。
「立憲?国民?どうしてこうなった!!立憲は民主党政権時の中核メンバー 国民はそのとき若手だった人々 どちらを応援するか悩む・・・」
旧民主党の党本部などは、民進党を経て国民民主党が受け継いでいる。民主くんのプロフィールにあるのも国民民主のURLだ。
「こくみんうさぎ」はまだフォロワー169人
さらに民主くんは、国民民主の国民運動局イベントキャラクター「こくみんうさぎ」が党公認キャラクターに格上げされたというニュースを引用しながら、
「こくみんうさぎ、国民民主党の公認おめでとう!僕なら、れいわ新選組の公認が欲しいな!あと立憲民主くんって誰?海賊版??コピー商品??」
ともツイートした。
「こくみんうさぎ」は19年5月にお披露目されたばかりで、わずか1か月余りでの公認。参院選の政策パンフレットの表紙に登場するなど、急激に「推されて」いる。07年に登場した民主くんが8年かけて公認を得たのとは対照的だ。
民主くんの思いを、ある国民民主党の関係者は、
「この状況を憲政記念館で寝ているわけにはいかない、と思ったのでは。ろくに雑巾がけもせずにスピード公認された『こくみんうさぎ』には、思うところがあるのでしょう。すでに民主党はなくなってしまいしたが、政策には近い部分も多いし、今でも議員同士の交流は多い。相手を見誤ってはいけない、との思いもあるはず」
と代弁する。2人区以上の選挙区では野党間の競合が強調されがちで、こういった状況を警戒している面もありそうだ。
この関係者によると、「こくみんうさぎ」は、民主くんと対照的に「恥ずかしがり屋でウブ」。ツイッターアカウント(@kokuminusagi)も、フォロワー(登録者)は169人(7月5日時点)にとどまっている。約1万人のフォロワーを誇った民主くんの力も借りながら、露出を増やしてきたいようだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)