プロ45戦でKO負けは1試合のみ
ドネアのこれまでのキャリアを見ると、プロ45戦のキャリアでKO負けはわずか1試合のみ。2014年10月に行われたWBA世界フェザー級王座統一戦でニコラス・ウォータース(33)=ジャマイカ=に6回KO負けしたのが、プロキャリアで初のKO負けだった。ウォータースはフェザー級でも屈指のパンチャーで、さすがのドネアもフェザー級の強打には耐えられなかった。
ドネアのボクシングスタイルは、オーソドックスながら一発を狙っていくタイプである。手数はさほど多くなく、パンチの当てカンに優れている。伸びのある右ストレートは、遠い距離から伸びてくる。中間距離、至近距離からは、しなるような左フックがアゴをとらえる。まさに閃光のような一瞬のスキをも逃さないパンチは、井上にとっても脅威となるだろう。
パンチ力、防御技術、スピードや現在の勢いなど、総合的にみれば井上の勝利は動かないだろう。ただ、米国でビッグマッチを経験してきたドネアのキャリアは決して侮ることは出来ない。井上との決勝戦に向けて「彼ができることは自分もできる」と自信をのぞかせるフィリピンのレジェンド。ドネアの「閃光」に対して井上の「モンスターパンチ」。世界の軽量級シーンの世代交代なるか。世界中の注目を集める。