全酪連関係者「これは私が知る限りこんなケースはみたこともない」
ツイッターには、酪農関係者とみられる人からの反応もあり、「悪意のある情報操作はやめてほしい」と指摘する人もいた。J-CASTニュース編集部では、こうした人にツイッターなどを通じて取材した。
10年間、酪農現場で働いていた元・牧場従業員だという人は
「牛を殴る人がゼロとは言いません」 「それは一般的に、他人やペットを殴る人がいるのと同じことです。ただし、それは極々一部であり、大半の従事者は牛に暴力を振るいません」
と指摘した。さらに、
「牛を殴った所でたいした効き目はありませんし、人間不信に陥ってしまいかえって私たちに不都合です」 「また、牛はストレスを感じると乳量が減ったり、乳房炎という厄介な病気に罹患する恐れがあり、私たちにとってデメリットにしかなりません」
とも解説した。
また農業高校の教職員で酪農家の「マック」さんは、漫画内で酪農家が牛を殴る場面に対して、
「私は現在、農業高校の教職員をしており、実習中に牛が暴れたり、生徒の身に危険があるとき以外は牛を絶対に殴ったりしません。牛が暴れたりしたときは鼻を叩いたりなどしますが、あの絵のように思いっきりフルスイングなどはありえません」
と答えた。また、
「漫画内では繋ぎ飼いでしたが、うちの学校でもそうです。漫画では牛床(牛のいるところ)はなにも敷いてなくコンクリートのままだと思います。しかし普通の酪農家はコンクリートの上にゴム製のマットを敷いたりしています」
と、漫画と「普通」の状況との差を指摘した。
高知県で山地酪農を営む「斉藤牧場」さんは、
「一部をもって、あたかもそれが全体であるように表現するなということが言いたいのです。確かに酪農家もピンからキリまで、また後継者不足などいろんな問題かかえてる。でもそれはどんな業界でも同じこと。一部を切り取ってものを言うなら、なんとでも言える。つなぎ飼いでも、僕らが恥ずかしいくらい愛情かけて育てている人もいる。若い子が希望もって頑張ってる。そんな人までこの漫画で潰してほしくないのです。そら、悔しい思いしてる人、いっぱいいると思いますよ」
と厳しく指摘した。
全酪連の関係者にも3日に話を聞いたところ、漫画について情報は入っていたが、まだ見ていない、とのことだった。実際にネットで見てもらうと、
「これは私が知る限りこんなケースはみたこともない」 「牛のアニマルウェルフェア、牛の快適な環境を酪農家は意識して取り組まれている。(漫画の内容は)一方的で、極端」
と語った。