2019年7月1日に登録抹消された広島の黄金ルーキー・小園海斗に心配の声が上がっている。
遊撃で不動のレギュラーだった田中広輔の打撃不振が続いてチームも交流戦で低迷したため、6月20日に1軍昇格。しかし、3試合連続計4失策を喫するなど、高校No.1と絶賛された遊撃の守備でミスを連発した。2週間も経たず2軍に逆戻り。
それでも光った打撃センス
小園を高校時代から知るスポーツ紙記者は「失策した時の小園は顔面蒼白だった。1軍で守備のミスは精神的なダメージも大きい、今後の野球人生の糧にしなければいけないし、良い勉強になったと思うけど変な意味で引きずらないでほしい。自信喪失しないかが気がかりですね」と思いやった。
交流戦期間中の1軍昇格に、周囲からは「まだ早い。2軍でじっくり育てた方がいいのでは」と時期尚早を指摘する意見もあった。ファームで47試合出場し、打率.189、4本塁打。遊撃の守備もリーグで3番目に多い10失策とまだまだ攻守で1軍のレベルに達している段階ではなかった。
それでも、打撃は非凡なセンスを見せた。昇格した20日のロッテ戦(マツダ)に「1番・遊撃」でプロデビューを飾ると、高卒1年目の新人野手では90年の前田智徳以来29年ぶりのプロ初打席初安打。幸先の良いスタートを切ったが、守備で試合の勝敗につながる手痛いミスを繰り返した。
21日のオリックス戦(マツダ)で1点リードの9回に遊ゴロをさばいたが一塁へ悪送球。次打者の吉田尚の逆転2ランでチームが敗れた。翌22日の同戦も2失策を喫した。6回は併殺に仕留めたと思われたゴロをトンネルし、3失点のきっかけに。足が動かず、グラブさばきもぎこちない。大観衆が見守る球場の雰囲気にのまれ、明らかに自分を見失っていた。
ただ、プロで挫折を味わっているのは小園だけではない。球史に名を残した名選手たちも失敗を積み重ねて成長した。同学年でプロ入りした中日・根尾昂、ロッテ・藤原恭大も2軍で鍛錬の日々を重ねている。小園も焦る必要はない。心身共にたくましくなった姿で再び1軍に戻ってくる日をファンは待っている。