山口県周南市内で大量の野犬が、公園や通学路にいるという報告がネット上にあがった。なぜ野犬が増加しているのか。市の環境政策課生活衛生担当者は2019年7月1日、「むやみなエサやりにより野犬が自然繁殖している」ことが主な原因だとJ-CASTニュース編集部の取材に答えた。
しかし野犬増加は、周南市だけの問題なのか。山口県や保健所、また野犬をみかけたという小学校に詳しい話をきいた。
公園や小学校で「見かけた」報告
実際に市内の公園で複数の野犬に遭遇し、5月18日夕にツイッター上で写真を投稿した「よーいち@」(@Yo_1_CAAD)さんは、7月1日の取材に「頭数が多いなと思いました」と答えた。
「初めて見た際は写真の通り、体格が良いので怖かったです 事前に、追いかけられたことがあるとのニュースも読んでましたので」
また「小学校でも野犬に遭遇した際の注意喚起が先生から行われたりプリントが配布されております」とも述べた。
また、別のツイッターユーザーは、運転中に野犬に遭遇したと取材に話す。
「前方に野犬が現れ道路を横切りました。距離があったので慌ててハンドルをきったり急ブレーキをかけることなく済みましたが、冷や汗をかきました」
このユーザーは、別の機会にも野犬に出くわしたと語る。
「公園付近を散歩していたら野犬に遭遇し、吠えられたのですぐその場を離れましたが、私の姿が見えなくなるまで吠え続けられて怖い思いをしました」
保護者や児童などから野犬の目撃報告があったという、周南市内の小学校の校長は、
「報告があれば職員が登校時や下校時に見回りをする。学校に通報があれば、職員もその場に行き立哨する」
と説明。1日現在も「保護者にも野犬を見た場合は職員が駆けつける前に見回りをお願いしている」と、地域と連携して対策を行っていると答えた。なお、この小学校では「子供は噛まれていない」といい、直接的な被害はないと話している。
「周南市が県内で野犬の数が圧倒的に多い」
周南環境保健所は、市の職員とも連携して、檻と網を用いた捕獲を行っている。同所は「周南市が県内で野犬の数が圧倒的に多い」とし、「噛みつきは2017年度が1件、2018年度は4件ある」と7月1日、取材に回答した。
周南市環境政策課の生活衛生担当者は、野犬増加の問題があることを認めたうえで、市の公式サイトや広報紙から注意喚起を行っているという。また増加の原因には「むやみなエサやり」が横行していることがあると述べ、「そのため野犬が自然繁殖してどんどん増えてきた」と答えた。「ここ数年で野犬が増えてきた」のが市としての実感だという。
市がサイト上で公開している「野犬の現状と取組み」には日本での狂犬病の発症例は50年以上ないと記載されているが、「周南市は徳山港を有し、外国の船が入港していることから狂犬病が持ち込まれる可能性があるかもしれません」と書いている。ただ、これについて担当者は、
「徳山港へ海外から犬が持ち込まれたという事実はなく、報告も入っていない」
とだけ答えた。
県担当者「色々な地域で野犬問題がある」
周南市は「周南緑地という広大な公園があり、誰もが車で訪れることができ、遺棄やむやみなエサやりをしやすい環境にあります」と公表してあるが、公園だけなら他の地域にもある。なにか別の問題があるのか。はたまた周南市だけの問題ではないのか。
山口県生活衛生課の担当者は、
「程度には差があるが、周南市以外にも市や町の色んな地域で野犬の問題がある」
と答えた。また、野犬が増加した理由は「エサやりだけが原因なのかはわからない」と述べた上で、
「狂犬病予防法や山口県飼犬取締条例による野犬の捕獲を行っている。檻を使用するが、様々種類があり、猪のような大きい野生鳥獣を捕まえるのに使う檻なども使用する。あとは、職員による追い込みでの捕獲を行う。またもしエサやりをしている人がいればやめていただくよう注意喚起をする」
と答えた。
(J-CASTニュース編集部 井上祐亮)