2019年6月21日、ゲームアプリ大手の「コロプラ」は、社員2名が取引先に対しランキング操作の目的で850万円の資金を提供していたと発表した。
ランキング操作の対象となったアプリ『最果てのバベル』は6月12日にサービスを開始したばかりの、有力なクリエイターが多数参加しているタイトルだ。
FGOは年間「896億円」課金を達成
しかしながらサービス開始直後からセールスランキングは300位圏外と低迷。これを問題視した担当社員がランキングに名前を載せるために取引先に依頼して課金に及んだものと思われる。取引先による課金は13日に行われ、一次はランキング下位に登場したものの、その後は再び低迷している。
ちなみにセールスランキングとはアプリの売り上げを順位化したもので、アプリの人気度及び収入の高さを示す指標となっている。
日々膨大な数のアプリが次々とリリースされる昨今だが、一部のアプリが「定番人気アプリ」として上位を確保し続ける傾向が強く、新規のアプリが上位に食い込み定着するのは難しい。
上位のアプリは多額の課金が為され、その額は1日当たり数億円を超えることもある盛況ぶりだ。例を挙げると代表的な人気ゲームアプリ「Fate/Grand Order」では、2017年に896億円の課金売り上げを達成している。実に1日あたり約2.45億円の課金が為されている計算だ。
それに対し、人気のないアプリは課金総額が数十万円程度ということもあり、開発費用やサーバー費用も賄えず、ひっそりとサービスを終了する厳しい状況となっている。
ユーザーに与えた不信感、払拭できるか
このような勝者と敗者の命運がはっきりとしている世界で、期待の新作ゲームアプリがリリース直後からセールスランキング圏外となってしまえば浮上は難しい。ここに担当者の焦りがあったのではないだろうか。
1日に数億の単位のお金が動くゲームアプリの世界で、850万という金額で動かせる順位はわずかであまり意味は無い。法的に逸脱した行為である可能性もあるが、それについてはここでは触れない。
問題は「お金で順位を動かすのが当たり前になっているのではないか」という不信感をユーザー側に与えたことにある。またセールスランキングを公開しているGoogleやAppleは不正なランキング操作に厳しい処置を取ることで知られている。果たしてこの先「最果てのバベル」がトラブルを跳ね除け、ユーザーを獲得して飛躍することが出来るのか、予断を許さない状況にある。
(ライター 早川清一朗)