選挙期間が終わると、ネット上の選挙公報が削除されることについて、署名サイトchange.org(チェンジ・ドット・オーグ)で「選挙が終わっても選挙公報を消さないでください!」と呼びかけている人物が2019年7月1日、参院選を前に、集まった署名ファイルを総務省に提出した。
同キャンペーンには6月30日までに、1万7600人が賛同した。
畠山さん「総務省としての見解は公式に出している見解と変わらない」
キャンペーンは、4月18日夜から実施。選挙ライターの宮原ジェフリーさんとノンフィクションライターの畠山理仁(みちよし)さんが企画。総務省と選挙管理委員会に対し、
一、選挙期間中にアップロードした選挙公報は、少なくとも政治家の任期中は各選挙管理委員会のサーバーから削除しないでください。
一、選挙公報を発行していてもインターネット上で公開していない自治体は、有権者の利便性向上のために公開に向けた取り組みを進めてください。
一、無投票となった選挙でも、立候補時の意気込みや提言に責任をもった仕事をしてもらうため、選挙公報を公開してください。
一、選挙公報を発行していない自治体は条例を制定して、次の選挙から選挙公報を発行するようにしてください。
と要望している。
7月1日の署名提出では、畠山さんが総務省を訪問。署名提出時に、
「1万7600人の方の思いを受け取って頂ければ」
と述べ、同省選挙課の企画官に署名簿のPDFファイルなどが入ったCD-ROMを手渡した。終了後、報道陣の取材に応じた畠山さんは、
「(総務省の位置づけは)選挙公報はあくまでも選挙の時に、投票するための判断ということで、選挙終了後に削除するのは、選挙の投票時点で必要なものという認識。(開票後に)削除することも差し支えないし、ほかの選挙と混同しない形であれば残すことも差し支えないということで、各選挙管理委員会の判断にゆだねるというので、総務省としての見解は公式に出している見解と変わらない。それぞれの選挙管理委員会の判断でやっていただければ、というお返事でした。無投票のところに関しては、(法律の)規定で発行しないというふうに法律が決まっているので、それ以上でも以下でもないと」
と振り返った。
「今回提出したことは無駄ではない」
畠山さんは総務省の見解について、「行政機関なので仕方がないかなと思うところはあります。削除しろという立場ではない」としつつも、
「無投票の時でも選挙公報を公開してほしいという声があることを、今まで意識したことがなかったというご意見もありました。そういう意味では皆さんに署名をしていただいて、『こういう意見もあるんだ』ということを総務省側に知ってもらったのは、一つよかったことかなと。そういう要望を行政や、当事者である政治家の方に有権者が伝えていくことが、事態をもう少し前向きに動かすことにつながるんじゃないか。今回提出したことは無駄ではないし、将来的に立法するのが政治家の方々のお仕事なので、そういった方々に働きかけていく第一歩になれば」
と署名提出の意義に触れた。今後も署名活動は続ける予定だという。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)