虎の貧打は「コーチの無策」か 矢野采配にも批判集まる

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   阪神は2019年6月30日、ナゴヤドームで中日と対戦し、0-1でサヨナラ負けを喫した。延長11回、守護神ラファエル・ドリス投手(31)の暴投による失点で今シーズン3度目のサヨナラ負け。投手陣が11回を2安打に抑えながらも打線が沈黙して完封負けとなった。チームはこれで3連敗となり、3位を死守したものの同率でDeNAに並ばれ、59日ぶりの借金生活となった。

   投手戦の幕切れはあっけなかった。延長11回、2死1、3塁の場面でマウンドには守護神ドリスが。中日の5番・高橋周平内野手(25)に対してツーストライクに追い込んでからの3球目だった。ドリスが投じたフォークはホームベース手前でバウンドし、梅野隆太郎捕手(28)が胸に当てるも球は一塁方向へ転がり、3塁走者がホームに生還。守護神の1球に泣いたゲームだった。

   この日、阪神は先発・髙橋遥人投手(23)を含めて7人の投手を投入して中日打線に許したヒットはわずか2つ。先発・高橋の2安打のみで、延長11回にドリスが1点を失ったとはいえ、それまで後続がほぼ完ぺきに抑え込んでいた。この日、2安打の中日対して阪神は6安打無得点。得点機会にあと一本が出ず、10回まで完封リレーの投手陣の踏ん張りを台無しにした。

  • 阪神の本拠地・甲子園球場
    阪神の本拠地・甲子園球場
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「コーチ陣が何も対策を練っていないのでは」

   交流戦直後の2連戦で挙げた得点はわずか1点。打撃陣の不振は交流戦を終えても続いている。この2連戦をみてもヒットが出ていないわけではない。この2試合、中日の11安打に対して阪神は15安打と、数字では上回っている。ヒットが得点に結びつかない状態に、指揮官やコーチ陣への批判の声が日増しに大きくなっている。

   虎党から批判の的となっているのが、打撃コーチ陣の「無策」ぶりだ。6月30日の中日の先発・柳裕也投手(25)に対して阪神は今シーズン、4試合29イニングでわずか4点しか奪っていない。30日の試合では柳に8回4安打無失点に抑えられ、10個の三振を奪われた。これで柳に対して18イニング連続無得点。柳を新たな「虎キラー」とするメディアもあるが、一人の投手にこれだけ抑え込まれれば、虎党から「コーチ陣が何も対策を練っていないのでは」との疑問の声が上がるのも当然のことだろう。

   批判の矛先は指揮官である、矢野燿大監督にも向けられている。打線が不振にあえぐも打順を大きくいじることなく、交流戦での打線低迷にも打順の大きな入れ替えをしていない。1番から4番、そして6番・梅野は不動で、好機に打線が機能しないのも相変わらず。30日の延長11回1死2塁の場面で、ついに近本に代打を送る勝負に出たが、原口文仁捕手(27)がショートゴロに終わり、結果を出すことが出来なかった。

鳥谷は打率.127、打点「0」

   また、指揮官の采配に関して鳥谷敬内野手(38)の起用法にも批判が集まっている。30日のゲームでは8回2死2塁、一打勝ち越しの場面で代打として起用された鳥谷だったが、141キロのストレートについていけずファールフライに打ち取られた。またも好機に凡打し、打率は.127まで落ち込んだ。今シーズン、ここまで打点「0」の鳥谷を好機で起用し続ける指揮官に批判が集まる一方で、鳥谷へは同情的な声も多く、虎党から「休養」を勧める声も出ている。

   在京球団の関係者は阪神の現状について「ヒットは出ているのに得点が出来ないというのは、監督の采配に問題があるといわれても仕方がない。打順に関しても、4番の大山は動かす必要はないが、その他の打順はもっと積極的に入れ替えるべき。打線が打てないのではなく、機能していないのだから、打順にこだわりすぎると得点のチャンスを逸する。何らかの手を打たないと、このままズルズル行ってしまう可能性もあります」と指摘する。

   7月2日からは敵地に乗り込み同率で3位に並ぶDeNAと3連戦を控える。最大で6つあった貯金は消滅し、借金生活に突入。今シーズン、9勝3敗でカモにしているDeNAを相手に打線復活となるのか。指揮官の采配に注目が集まる。

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