万博での飛躍を狙う近鉄
先ほどの計画の中で、建設が確実視されているのが大阪メトロ中央線の延伸計画だ。夢洲周辺の地図を見ると、単なる延伸計画に見えるかもしれない。しかし近畿日本鉄道(近鉄)の動向を考慮すると、大きなプロジェクトになる可能性を秘めている。
大阪メトロ中央線は近鉄けいはんな線と相互直通運転を実施。近鉄けいはんな線は生駒駅で主要路線である近鉄奈良線に接続している。しかし、奈良線とけいはんな線・大阪メトロ中央線は集電方式(電気を外部から電車に取り込む仕組み)が異なるため、現段階では相互直通運転ができない。
近鉄は5月14日に新「近鉄グループ経営計画」を発表。その中で近鉄沿線から夢洲への直通列車の計画を打ち出した。つまり、集電方式の差異をクリアできる新造車を製造し、奈良線とけいはんな線・大阪メトロ中央線の間で相互直通運転が実現する予定だ。このプロジェクトが実現されると奈良~夢洲間の直通特急も夢ではない。
振り返ると、1970年開催の大阪万博の際にも、近鉄は大阪ミナミの中心地である難波への乗り入れを果たした。2025年開催の大阪万博で近鉄は再び大きく飛躍するのだろうか。一鉄道ファンとして大いに注目したい。
(フリーライター 新田浩之)