大手写真画像代理店のGETTY IMAGESにアップロードされている写真(イラスト含む)に「ヒアリ」がほとんどいないことがわかった。
J-CASTニュース編集部がアリの研究をしている大学の教員に「ヒアリ」と検索した際ヒットする90枚の写真を見せたところ、「ほとんどヒアリはいないし、1枚もないに等しい」という。
この事実に対して、GETTY IMAGES社は「日々大量のデータがアップロードされているため、正確さ・的確さというところを確認できていないのが現状」と2019年6月25日に回答した。
ヒアリ警察さん指摘きっかけに注目...取材してみると
発端となったのは、ツイッター上でヒアリに関する情報発信を行っていることで知られる「ヒアリ警察」さんのつぶやきだ。
「ヒアリ警察」さんはとあるサイトが掲載したヒアリに関する記事に対して、
「サムネイルの画像はヒアリではありません」
と記事内で使用されている画像が「ヒアリ」ではないと6月19日に指摘した。
使用されていた画像はアメリカに本社を置く、写真画像代理店の「GETTY IMAGES」から利用したものだった。「ヒアリ警察」さんがさらに、GETTY IMAGES内に掲載されている「ヒアリ」の画像を確認したところ、
「こ、これは驚きました。この、メディアが商業利用するであろう、有償の画像サイトですが、『ヒアリ』という検索結果のうち、ヒアリと言えるのは90件中2件でした」
と、驚きの結果が。さらに続けてその2枚も「アカカミアリである可能性があります」と指摘した。
J-CASTニュース編集部はアリの研究をしているある大学教員に6月20日、90枚の写真の中にヒアリはいるのかと聞いてみた。
「たしかにほとんどヒアリはいないし、1枚もないに等しい。ツムギアリがほとんど。また(ヒアリと同様外来種の)アカカミアリの可能性もあるが写真が小さすぎてわからない」
またほとんどの写真が「ツムギアリ」であるとした。
GETTY IMAGES社の見解は?
GETTY IMAGES社に確認したところ、国内のPR事務局を通じて25日に以下のような回答が返ってきた。
「会社としてこの特定の写真(※編注:上記のニュースサイトに掲載されたもの)についてキーワードが間違っていたということを把握はしていなかった。この画像がアメリカのiStock(同社の別サービス)というサイトからアップロードされており、アリだけでも12万以上の品種、ヒアリ(※編注:ヒアリ属)だけでも200品種もあるので、アメリカと日本のヒアリに対する区別の差があり、事実として把握をしていなかった」
一体どういう管理体制になっているのか。
登録者は写真をアップロードする際、タグ付けをし、管理を行うという。
「全ての写真に対してタグ付けという行為は発生するが、『ヒアリ』のタグ付けも同じで、コントリビューター(写真を登録する人)は写真をアップロードする際、自身でタグ付けをしてもらっている。その責任(罰則ではなくタグ付け管理という意味)は取って頂いており、タグ付けはコントリビューターにおまかせしている」
と述べ、
「GETTY IMAGES内でもデータの確認やタグの精査は行っているが、日々大量のデータがアップロードされているため、なかなか一つ一つのキーワードの正確さ・的確さというところを確認はできていないのが現状です」
と大量データを精査することの難しさを語った。
今後の対応については...?
今回使用された写真は最小サイズで9000円、大サイズで3万7000円と高額であり、差し替えを行ったサイトの損失は大きいだろう。GETTY IMAGESのブランド価値が下がるのではないかという質問に対して、
「(写真など使用料を支払うことで利用のできる)ストックフォトを使用する際は正確さが求められるような場合に関しては事前にご連絡をいただければ、弊社の担当者が記事に適切な写真を選ぶ手伝いをさせていただく」
としたうえで、
「GETTY IMAGESはいただいたご意見を元に日々システムのアップデートを進めており、今後の対策についてもタグが間違っていたりユーザーから指摘があれば、社として検討・対応をしていく」
と回答した。