ラグビーW杯(ワールドカップ)2019日本大会まで、3カ月を切った2019年6月27日、またしてもトップリーグ(TL)の強豪・トヨタ自動車ヴェルブリッツの選手が逮捕された。
愛知県警は27日、コカインを所持したとして、麻薬取締法違反の疑いで、トヨタに所属するイエーツ スティーブン容疑者を逮捕した。同チームでは、今月20日、同容疑で社員の樺島亮太容疑者が逮捕されたばかり。W杯日本大会の開幕を9月20日に控え、またしても日本ラグビー界に衝撃が走った。
JRFU岡村会長「日本ラグビーの根幹を揺るがす事態」
逮捕されたイエーツ容疑者はニュージーランド出身で、ポジションはFB(フルバック)。過去には、母国で7人制代表にも選ばれたこともある。同容疑者は2008年にトヨタ自動車に加入し、2015年には日本国籍も取得した。
愛知県警によると、今月20日に逮捕された樺島容疑者の捜査の過程で、イエーツ容疑者の関与が浮上したという。逮捕容疑は27日、名古屋市内の自宅の寝室でポリ袋に入ったコカイン若干量を所持した疑い。イエーツ容疑者は「所持すると法律に違反すると十分認識していた」と容疑を認めている。県警はコカインの入手経路を調べている。
同容疑者の逮捕を受け、日本ラグビーフットボール協会(JRFU)の岡村正会長は27日、
「先の事件(編注:樺島亮太容疑者の逮捕)に続いてジャパンラグビーTLのトヨタ自動車ヴェルブリッツ所属選手が、麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されたことは誠に慙愧(ざんき)に耐えません。日本ラグビーの根幹を揺るがす大変な事態だと承知しております。ラグビーファンのみならず、日本中の皆様にご不快、ご不審の念を抱かせることになりましたこと、心より深くお詫び申し上げます」
と、コメントを発表した。
TL杯出場自粛、事前販売チケットは払い戻し
トヨタ自動車は樺島容疑者の逮捕後、22日に開幕したTL杯の出場を自粛するなど、活動を中止している。JRFUは、対戦予定だった相手チームを、すべて「不戦勝」とし、事前にチケットを購入していたファンには「払い戻し」を行うなど、対応に追われている。対象となるのは、以下の5試合。
・6月23日=三菱重工相模原ダイナボアーズ戦(岩手県・いわぎんスタジアム)
・6月29日=キヤノンイーグルス戦(静岡県・エコパスタジアム)
・7月6日=釜石シーウェイブスRFC戦(岩手県・釜石鵜住居復興スタジアム)
・7月13日=コカ・コーラレッドスパークス戦(愛知県・パロマ瑞穂ラグビー場)
・7月20日=クボタスピアーズ戦(東京都・秩父宮ラグビー場)
ヴェルブリッツは、6月28日、JRFUを通じて、
「この度、弊部部員が連続して重大な法令違反により逮捕されたことに対し、心よりお詫び申し上げます。フェアプレーの世界に身を置くアスリートが、反社会的行為により逮捕されたことは極めて遺憾に感じております。今後の警察の捜査に対し、引き続き全面協力していくことは勿論、当該部員に対しましては、捜査の状況を踏まえ厳正に対処いたします」
と、謝罪文を発表している。