東京都立篠崎高校(江戸川区)の呼びかけに賛否の声があがった。生徒の振る舞いが原因で近隣から学校へ苦情が寄せられたとして、公開の場であるツイッター上で「猛省を求めたいです」などと注意したのが原因だ。
生徒に限らず誰でも閲覧できるツイッターでの厳しい発言。「ここで言う事ではありませんよね?」などと同校のリテラシーに疑問を示す声が多数あがったが、一部では理解を示す声もある。そうした中、同校は該当の投稿を削除。さらにはツイッターアカウント自体も削除した。同校に事情を聞いた。
「ちゃんと教育してくれている高校」と擁護もあるが...
篠崎高校の問題の投稿は2019年6月24日にあった。「残念なお知らせです」と切り出すと、
「近隣のコンビニから出入り禁止にして欲しいと苦情が寄せられました。イートインコーナーで騒いでいるところを注意したら悪態をつかれたとのこと。試験1週間前という大事な時期にやることでしょうか?猛省を求めたいです」
と生徒を叱った。その上で、
「学校の評判を上げるのにはとても時間がかかりますが、落とすのは簡単です。落ちると上げるのは大変です。頑張ってる人が多い篠高です。各自が何をすべきか考えて、汚名返上して欲しいです」
と同校生徒としての自覚を促した。
投稿はこれだけではない。翌25日にも、
「今しがた自転車マナーに対する苦情が入りました。イヤホンして2人乗りで車道の真ん中を走っていた、とのことでした。自転車通学を禁止してくれ、とも言われていました」
と別の苦情があったことを報告し、
「このままですとホントにまずいですよ。考えてください」
と語気を強めて生徒に注意を呼びかけた。
だがツイッターという誰でも閲覧できる場で、在校生に対する苦言を呈したことは物議を醸した。リプライには、
「そんなん身内でやりなよ Twitterって」
「ここで言う事ではありませんよね? 削除をお勧めします」
「おそらくは在校生に対するアナウンスを行うアカウントなのでしょうが、全世界に向けて発信する内容として相応しいかどうか、ネットリテラシーが問われていると思います」
といった批判的な声が相次ぎ、「炎上」状態。その一方で、
「むしろ、ちゃんと教育してくれている高校だなと評価する。最近は大学生になっても礼儀やマナーが分からない子供ばかりで大変だから」
「わざわざツイッターで拡散するなというコメありますけど、学校側は万策尽きているのではないかと想像する。実際の現場にいない我々が批判するのもなぁ」
と理解を示す声も一部であがった。
「私自身がツイッターを使い慣れておらず...」
こうした中、同校は26日までに上記3つの投稿を削除。その後27日までにツイッターアカウント自体も削除するに至っている。
何が起きていたのか。ツイッターを運用していた篠崎高校の副校長は27日、J-CASTニュースの取材に、まず一連の投稿の理由を次のように話す。
「あくまで生徒に対する注意喚起のために投稿しました。節度ある行動をし、近隣の方々の信頼を得られるようになってほしいという思いでした。お恥ずかしいことですが、本校生徒についての苦情は頻繁に届きます。その度に生徒には注意喚起していますが、度重なっていたのであのような書き方になってしまいました」
だが、公開の場で言うべき内容ではないとの批判があがっていることについては、
「その通りだと思います。伝える手段を間違ってしまったと反省しています。私自身がツイッターを使い慣れておらず、生徒へのメッセージを発信するために使ってしまっていました。生徒しか見ていないという前提で投稿していたことは否めません。不徳の致すところです」
と軽率であったことを口にした。
副校長によると、批判が相次いだことを受けて校長と協議。「無関係の生徒を含め、多くの生徒に直接・間接の被害が広がることは望ましくない」として一連の投稿を削除した。その後、同校を管轄する東京都教育委員会・東部学校経営支援センター支所(墨田区)に「炎上」状態であることを報告すると、ツイッターアカウントを削除するようにと言われ、26日中にアカウントを削除した。
J-CASTニュースが同支所に事実確認すると、担当者は「確かに副校長から報告を受け、当センターとしてはこれ以上の騒ぎの拡大を防ぐために、一時的にアカウントを削除するよう助言しました。本来この件は生徒に直接口頭で注意喚起すべきもので、それをツイッターという公の場でコメントしてしまったため、こういう事態を招いたと受け止めています」と話した。「一時的に」と言うように、適切な運用方法などを固めた上で、時期を見て再び開設や復元(ツイッターアカウントは削除から30日経過するまで復元が可能)するのは構わないとしている。
「協力して良い学校にしていこうと投げかけたかった」
投稿の内容について前出の篠崎高校副校長に事情を聞くと、コンビニからの苦情を受けてすぐに教員が店舗に向かい、店側に謝罪した。その時点で店舗に残っていた生徒らには指導し、「よくない態度だったことは本人たちも認めていました」という。他にも複数の生徒がいたとみられるが全員は特定できていない。校内で注意喚起のうえ、「当面の間、全校生徒に該当のコンビニに出入り禁止の通知をしました」と、出入り禁止の要望を受け入れた。
自転車マナーの苦情についても、校内でマナー遵守の徹底を呼びかけた。だが投稿にあるような「自転車通学の禁止」は見送った。「禁止すれば、近隣区域に勝手に駐輪する生徒が出てきて余計にご迷惑をおかけするおそれがあるためです」と副校長は説明している。
最後に副校長は「本校としては、本当に生徒には協力して良い学校にしていこうと投げかけたくて、今回の投稿をしました。しかしこちらがSNSの扱いを誤ってこうした事態を招いてしまいました。真面目な生徒は非常に多いです。そうした生徒たちに『風評被害』が及んでしまうことだけは避けたいというのが本心です」と話していた。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)