2019年6月28日に大阪で開幕する主要20か国・地域(G20)首脳会議では、韓国大法院(最高裁)が日本企業に対して元徴用工らへの賠償を命じる判決を下した問題が尾を引き、日韓首脳会談は見送られる見通しだ。
だが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は通信社7社(AP、AFP、ロイター、新華社、共同、聯合、タス)による書面インタビューへの回答(6月26日付)で、韓国政府による提案は「現実的」だとした上で、「私はいつでも対話の扉を開いている」として、首脳会談が実現しない原因は日本側にあるとの主張を展開した。両国の主張はすれ違いが続いており、普段は抑制的な報道が多いNHKですら、「日本側に責任を転嫁」していると指摘するほど、日本側のいら立ちは高まっている。
日本が拒否した案を「現実的な解決策」と主張
青瓦台(大統領府)の発表によると、文氏は徴用工問題について
「韓日関係の発展のために過去の問題を国内政治に利用してはならない。過去の問題は、韓国政府が作り出しているのではなく、過去に存在していた不幸な歴史のために生じたものだ」
と主張。
この問題をめぐっては、韓国外務省が6月19日、韓国企業と被告となった日本企業が資金を拠出して元徴用工に賠償することに日本側が応じれば、日韓請求権協定に基づく協議に応じるという案を提案。日本政府は直後に「この問題の解決策にはならない」と拒否していた。だが、文氏はこの提案について
「現実的な解決策を用意して、日本政府に伝えた」
「当事者間の和解が行われるようにしながら、韓日関係も一歩進ませる措置」
などと表現し、首脳会談について
「私はいつでも対話の扉を開いている。G20の機会を活用することができるかどうかは、日本にかかっている」
とした。