電力政策の「難しさ」露わに 廃止へ向かう「固定価格買い取り制度(FIT)」の7年

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基本的な課題をおろそかにしたまま...

   買い取り制度は、電力政策の難しさを思い知らせてくれる材料だ。急速な普及のための高価格が国民負担の増大を招いたことは説明したが、ここにきて問題視されているのがインフラ不足。九州で昨秋以降、九州電力が太陽光発電の受け入れを一時的に減らす「出力抑制」を実施したのが、その代表例だ。九州では大規模な太陽光発電設備が多くできたため、送電網の受け入れ容量を超え、大規模停電を引き起こしかねないためだ。東北地方では稼働していない原子力発電所用に送電線が確保されているため、再生エネ事業者が十分に使えないという問題もある。

   政府は再生エネを主力電源に位置付け、構成比を2030年度に22~24%に高める目標を掲げる。価格と普及のバランスを取るという方向性は当然として、電力を需要家まで確実に届けるインフラの整備という基本的な課題がおろそかにされていたことが分かったのだ。巨額の投資、つまり最終的に税金であれ電力料であれ、国民負担が必要になるだけに、政府はFIT見直しと共に、送電網を含めた明確な展望を示していく必要がある。

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