阪神は2019年6月23日、甲子園で西武に3-7で敗れ、交流戦全日程を終えた。本拠地・甲子園3連勝を狙った阪神は、1回2死1、2塁からジェフリー・マルテ内野手(28)がセンター前に運び先制したが、5回に先発オネルキ・ガルシア投手(29)が乱れて大量5点を失った。打線は13安打を放ったものの、3得点にとどまり追い上げならず。阪神は交流戦を6勝10敗2分で終え、交流戦順位を10位(6月23日現在)とした。
貯金「5」のリーグ2位で交流戦に入った阪神は、交流戦で4つの貯金をはきだし、現在、貯金はわずか「1」。それでもリーグ順位は3位につけ、2位・広島に2ゲーム差、首位・巨人に3.5ゲーム差に迫る。広島が交流戦で不振を極めたため、上位3チームに順位の変動はあったものの、阪神においては首位チームとのゲーム差に大きな変化はなかった。
交流戦中盤の6月13日ソフトバンク戦から1つの引き分けをはさんで6連敗。それまでは5割ペースで来ていただけに痛い連敗となった。この連敗の要因のひとつが失策だろう。連敗中(引き分け含む)の試合で失策なしだったのは、13日と19日のわずか2試合のみ。残り5試合全てに失策を記録しており、失点に直結するものも見られた。また、走塁ミスなど数字には残らないミスもあり、わずかなほころびが敗戦につながった。
阪神負けパターンは「分かり易い図式」
阪神OBで野球解説者の野口寿浩氏(48)は、阪神の交流戦の戦いを「分かり易い図式」とし、次のように説明した。
「ミスがなければ勝ちますし、ミスが出れば負ける。阪神は土のグランドである甲子園を本拠地としていますからある程度のミスは仕方ないと思いますが、失策の多さは気になります。青柳投手や西投手、岩田投手はゴロを打たせて取る投手ですし、メッセンジャー投手やガルシア投手も最近、そのような傾向にあります。ミスは誰しもすることなので避けることは出来ませんが、直接失点に結びつくような失策が見られましたので、それは避けたいところです」
また、野口氏は6月20日の楽天戦の8回の攻撃について言及。1点ビハインドの8回、無死1、3塁の場面で近本光司外野手(24)の3ゴロに3塁走者の木浪聖也内野手(25)が反応出来ず得点機を逃した。直後に木浪に代走が送られ、ベンチに戻った木浪は矢野燿大監督(50)に「公開説教」を受ける始末。結局、この回、得点を挙げることが出来ず、接戦を落とした。
木浪の走塁ミス「悔やまれる走塁に...」
「おそらくあの場面の指示は、ゴロでは基本的に進塁をしない『ゴロストップ』だったと思います。ただ、近本選手の打球は高くバウンドしたので、あそこはホームインしてほしかったです。私が現役時代、『ゴロストップ』のサインが出ても、バウンドが高ければ走るという教育を受けました。おそらく矢野監督もそのような感覚があったと思います。コーチと木浪選手の意志の疎通が完ぺきではなかったかもしれません。得点の絶好の機会だっただけに悔やまれる走塁になってしまいました」(野口氏)
阪神は73試合を消化して現在、貯金「1」でリーグ3位につける。リーグ2番目となる302失点を記録している一方で、チーム防御率3.44はリーグ2位の数字。これらの数字が示すように投手の自責に結びつかない失策絡みの失点が多い。
「阪神の投手力は高く、それは防御率にも表れています。打線もある程度、点を取ることが出来ています。失策は今後の課題になると思いますが、チーム力を見ても中盤以降、阪神は間違いなく上がっていくでしょう。期待していいと思います」(野口氏)