2019年の交流戦は劇的な逆転ゲームが多かった。中でも、最も野球ファンの印象に残った試合は6月16日のロッテ-中日戦(ZOZOマリン)ではないだろうか。
中日が7―2と5点リードの9回にドラマは待っていた。ロッテが5本の長短打で6点を奪ってサヨナラ逆転勝利。鈴木大地がバットを折りながらも一、二塁間を抜ける2点逆転サヨナラ適時打を打った際は大歓声が鳴りやまず、涙を流して喜ぶロッテファンが出るほどだった。
ベンチの壁蹴とばし、コーチが静止に
一方で勝利をほぼ手中に収めながら、まさかの逆転負けを喫した中日ナインはショックが大きかった。うつむいてグラウンドからベンチに引き上げる選手が多かったが、怒りを爆発させたのは京田陽太だった。三塁ベンチの壁を蹴飛ばすとコーチが思わず静止に入ったが、その後もグラブをベンチに叩きつけた。普段は温厚な京田が感情を爆発させたことに、他の選手も振り返って驚くほどだった。
ファンが見ている中の行為であまり許されたものではないかもしれない。実際に「京田の成績でやるべきではない。チームの空気がもっと悪くなる」と指摘する意見もあった。
だがネット上では支持する声も多い。「野球ファンとして京田の行動はいいとは思えないけど、中日ファンとしてはここまで一つの負けに対し感情を出してくれるのはうれしい。物に当たらず、素晴らしいプレーで一つ一つ勝ってほしいね」、「京田の気持ちはすごくわかる。逆にこういう試合に負けて何も感じない方がおかしい」、「京田みたいな熱い選手が今のドラゴンズには必要」など激励のメッセージが寄せられた。
京田はこの試合で2回にスクイズを成功させ、6回も中越え適時三塁打を放つなど2安打3打点と大活躍だった。だが、個人で結果を残してもチームが勝たなければ悔しさしか残らない。大逆転負けでベンチの壁を蹴るなど怒りを爆発させたことは反省の余地があるかもしれないが、この勝利への執着心が上位浮上を狙う中日に最も必要な要素かもしれない。