どちらを選ぶのがココカラには「得」か
だが、出店競争で1店舗当たりの商圏は以前より狭まってきたうえ、コンビニなどとの競争は激しさを増し、医薬品を扱う店舗に欠かせない薬剤師不足で人件費も高騰。インバウンドにも陰りがみえる。かつて地場チェーンを含めて群雄割拠だったコンビニ業界が、今やセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンの3強に収れんしてきたように、ドラッグチェーンも集約が進む可能性が高い。
ココカラ争奪戦はどうなるか。
スギとココカラは、調剤を核に医療・介護事業を強化する戦略が重なる。超高齢化社会をにらみ、健康維持や予防から介護・終末期のケアまでを一貫して扱う体制の構築を成長戦略と位置付けているのだ。スギが東海地方に強いのに対し、関東地盤の旧セイジョーと関西地盤の旧セガミメディクスが2008年に経営統合したココカラとは、地域的な補完性でも統合効果が期待できる。
一方のマツキヨとココカラは同じ都市型店舗が中心で、地域的にも一定の店舗が競合するという不安材料もあるが、マツキヨは会員データに基づいた付加価値の高いプライベートブランド(PB)商品を強みにしており、ココカラでのPB販路拡大は大きなメリット。ココカラも商品ラインアップの充実は魅力だ。
また、ココカラはオーナー色が薄く、マツキヨやスギとして経営統合がしやすいというのが業界での評価だ。
大手がM&Aによって地場チェーンを傘下に収める形での「陣取り合戦」がかなり進展したドラッグストア業界は、市場の伸びに陰りが出る中、いずれ大手同士の合従連衡の時代になるとの見立てが一般的だった。ココカラ争奪戦は、まさに本格的な業界再編の号砲を鳴らすもので、その帰趨が各社の今後の戦略に大きな影響を与えるのは必至だ。