サッカーの南米選手権(コパ・アメリカ)グループリーグ(GL)第2戦・ウルグアイ戦は2019年6月21日、2-2の引き分けに終わったが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の使用をめぐり疑問の声があがった。
ウルグアイのFWエディンソン・カバーニがDF植田直通の足に当たって倒れたシーンでVARが適用され、PKの判定へと覆った一方、後半にMF中島翔哉が足をかけられて倒れたシーンでは、ファウルどころかVARの適用なし。ツイッター上では「カバーニのやつ見たなら中島のも見てもいい気がした」との書き込みが相次いだ。
足の裏を向けるように右足でブロック
MF三好康児の右足で日本が先制して迎えた前半29分、ペナルティエリア内やや右へのロングパスに反応したカバーニが右足でシュートを打つと、植田が足の裏を向けるように右足を出してブロック。両者の足が接触し、カバーニは倒れ込んだ。植田はノーファウルをアピールし、プレーが続行されようとするが、カバーニは一向に立ち上がらずうずくまる。主審は笛を吹いてVARで判定することを伝えた。
VARはゴールやPKに関わる場面などが対象で、別室でモニターをチェックしている審判の助言をもとに、主審が適用するか否かを決める。この試合、フィールド外に設置されたビデオへと向かった主審は、しばらく確認すると再び笛を吹いた。カバーニに対する植田のファウルで、ウルグアイにPKが与えられた。
カバーニは「当然だ」という顔で何度もうなずいた。イエローカードを受けた植田は「なぜだ」というように両手を広げた。カバーニに向かって親指と人差し指で「ちょっと(しか当たってない)」のジェスチャーも。PKはFWルイス・スアレスが沈め、試合は振り出しに戻った。
一方の日本は後半2分、左サイドからドリブルでペナルティエリアに侵入した中島は、相手2人の間を鋭く抜け出そうと仕掛ける。DFジョバンニ・ゴンサレスは咄嗟に左足を出し、直進してきた中島は倒れた。ファウルをアピールしたが、審判の笛は鳴らなかった。温厚な中島が不服そうに仰向けに寝転んだ。VARに持ち込まれることもなかった。
「これもPKにならないのが『地の利』ってヤツ」
「タラレバ」はないが、得点に直結するシーンなだけに、もしVARが適用され、PKになっていれば試合展開を大きく左右していたことは想像に難くない。ツイッター上では、
「カバーニへの植田のファールをVARで見るなら 中島のルーレットもVARで見ろよ」
「誰がどう見てもカバーニのPKシーンは自爆だし、後半序盤の中島が倒されたシーンにはVAR使われるべきだったとは思う」
「中島翔哉のルーレット あれPKじゃないの?!笑 明らか足出してるやん笑 カバーニの大袈裟なんでVAR適用されるんやったら中島翔哉のも見ろよ笑」
「植田のはあれはPKではない、カバーニから足持ってきてるのにPKなわけがない、南米の笛やわ」
「VARの基準がわからない 中東の笛なら知ってるけど南米にも笛があるなんてな」
などと判定への疑問が相次いだ。一方、大会は南米ブラジルで開催されており、日本にとってはアウェーの地であることから、
「植田のがPKなら、これもPKにならないのが『地の利』ってヤツ」
「カバーニは点とる可能性が少しでも上がるように審判が気にかけるまでずっと痛がってた。中島はファール取られなかったからちょっと抗議して終わりにした。ここのゴールへの執着?執念?の差でしょ」
と強豪ウルグアイの強かさを指摘する向きもある。
開催地ブラジルのメディア「UOL」ではジャーナリストのミルトン・ネヴェス氏がコラムを寄せ、ウルグアイ(Uruguai)とVARをかけて「VARuguai」と揶揄。「VARそのものはほぼ完璧なシステムだ。だが弱点もある」とし、
「誰かウルグアイのPKを説明できますか? 中島へのファウルが見逃されたことを説明できますか? 残念なことだ。もしそれが『VARuguai』のためのものでなければ、日本はこのゲームに容易に勝っていただろう」(原文はポルトガル語。編集部で和訳)
とVARをめぐる両チームの判定を批判している。