東京・銀座にある着物店「銀座いせよし」が3年前にブログで紹介した店のポスターが不快だとツイッター上で物議を醸し、ブログが削除される騒ぎになっている。
着物を貶めるようなキャッチコピーだとの批判もあり、店は、J-CASTニュースの取材に対し、「真摯に受け止めます」などとコメントした。
「ナンパしてくる人は減る。ナンパしてくる人の年収は上がる」
ピンク色の着物を着た若い女性が、スクランブル交差点の横断歩道を1人渡っている。ポスターの1つは、そんな写真を大きく載せ、こんなコピーが書かれていた。
「ハーフの子を産みたい方に」
これは、店のブログで2016年6月20日に投稿されたポスターの写真だ。
ブログには、計5つのポスター写真が載っており、次のようなコピーのもあった。
「ナンパしてくる人は減る。ナンパしてくる人の年収は上がる」
「着物を着ると、扉がすべて自動ドアになる」
これらのポスターは、コピーライターの女性が制作し、「東京コピーライターズクラブ」の16年度の新人賞に入選した作品だった。
すでにブログ掲載からは3年が経っているが、19年6月18日ごろからツイッターで不快だなどと取り上げられ、翌19日になって、写真が次々に転載されて疑問や批判が相次ぐ炎上状態になった。
「着物を着ると外国人男性や金持ち男性からナンパされるから良いよ!とでも主張したいのかな」「発想が気持ち悪い。着物着てる人に失礼」「そんな目的で着てるわけじゃない!!」「こんなのが入賞?! 広告業界、おかしすぎでは?」といった意見だ。
「着物に関心なかった方にも、目を向けて頂きたかった」
騒ぎになった後は、店の公式サイトからブログが削除された。
もっとも、「お行儀のよい広告では話題にもならない」「ハーフタレントがハーフをブランドとして売り出してた頃ですから、しょうがないのでは」「広告みて不愉快なら買わなきゃいいだけ」などとポスターの内容に理解を示す向きはあった。
銀座いせよしは6月20日、批判が相次いでいることについて、取材にこう答えた。
「これまで着物にあまり関心を持たなかった方にも目を向けて頂きたいというのが企画意図となっております。この度の貴重な意見を真摯に受け止め、今後の広報活動の参考にさせて頂きます」
店の公式サイトでも、同様な内容の「お知らせ」をアップした。ブログを削除した理由については、「掲載が終了した広告の記事にアクセスが集中していたため削除しました」と説明した。
東京コピーライターズクラブ事務局は20日、これらのポスターをなぜ新人賞に選んだかについて、次のように取材に話した。
「評価の基準は審査員によってまちまちで、30人の審査員による得票で上位になったものに決めました。新人賞は、複数の作品を応募してもらって、総合的にコピーライターの資質を評価しています」
審査する作品は、すでに世の中に出ている広告が対象で、すでに店がポスターの内容を了承していたという。
これらのポスターの新人賞取り下げについては、考えていないとした。その理由については、「作品には賛否両論が必ずあり、そのときの審査基準で決めましたので、炎上したからといって取り下げはしていないです」と述べた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)