井岡一翔の「誠実さ」と「覚悟」 日本人初4階級制覇の原動力

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   ボクシングの井岡一翔(30)=Reason大貴=が日本人初の世界4階級制覇を達成した。WBO世界スーパーフライ級王座決定戦が2019年6月19日、千葉・幕張メッセで行われ、同級2位の井岡が同級1位アストン・パリクテ(28)=フィリピン=に10回1分46秒TKOで勝利した。井岡はミニマム級、ライトフライ級、フライ級に続いて世界4階級目を制覇。日本ボクシング史に新たなページを刻んだ。

   一度は跳ね返された「階級の壁」を自らの拳で乗り越えた。10回、右カウンターでパリクテをぐらつかせた井岡に迷いはなかった。後退するパリクテに次から次へとパンチを打ち込んだ。世界4階級への怒涛のラッシュ。ガードすらままならず、戦意喪失状態のパリクテの表情を確認したレフリーが両者の間に割って入り試合をストップ。文句なしのTKO勝利で4階級制覇を成し遂げた。

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体格差を最大限に生かす戦法を取ったパリクテ

   47.6キロのミニマム級から階級を上げてきた井岡に対し、パリクテはバンタム級(53.5キロ)やスーパーバンタム級(55.3キロ)で戦ってきた強豪。リング上では両者の体格差は明らかで、実際、身長で4.1センチ、リーチでは6.3センチ、井岡が劣っていた。これがいわゆる「階級の壁」というもので、今回の試合は、この体格差をいかに克服するかがひとつのポイントとなっていた。

   ボクシングにおいて体格差とは、イコール相手との距離につながる。パリクテはリーチ差をいかすように序盤、井岡と距離を取って左ジャブをつき、右のロングフックを放った。井岡が懐に入り込もうとすればアッパーを突き距離を保った。常に自身が優位となる距離で試合を進め、体格差を最大限に生かす戦法をとってきた。

   相手が体格で上回っても井岡のスタイルに変化はなかった。井岡のボクシングは実に「誠実」である。ガードをしっかり固めてジャブからのワンツー、左フック、そしてボディー。ストレートの軌道は真っすぐで、教科書通りのボクシングを実践する。ベタ足気味ながらサイドステップを踏むことができ、無尽蔵のスタミナを誇る。そのスタイルに派手さはないが、人並み以上の練習量をうかがわせるファイトには、ボクシングと向き合う「誠実さ」が見て取れる。

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