日本航空(JAL)は2019年6月20日、19年9月から国内線にお目見えする最新鋭大型旅客機、エアバスA350型機の内部を羽田空港で報道陣にお披露目した。
1996年から国内線の主力として活躍してきたボーイング777型機の後継で、「今後長くJALのフラッグシップとして活躍する次世代航空機」(赤坂祐二社長)。シートも新型を導入。JALが購入する国内線仕様機としては初めて全席に個人用モニターがつくなど、内装も充実させた。
機内に入ると「鶴丸」が出迎える
今回導入されるのは、標準型のA350-900型で、標準座席数はボーイング777-200型機の375席よりも若干少ない369席。ファーストクラス12席、「クラスJ」94席、普通席263席を配置した。
大半の乗客が通ることになる前方左側の入り口には、JALのシンボル「鶴丸」をあしらい、すぐ後ろに広がるファーストクラスの区画は黒を基調にした配色で落ち着いた空間を演出。続くクラスJ、普通席の区画は、JALのシンボルカラーでもある赤をベースにした。
全席に個人用モニター、USBの充電ポート、PC用の電源がつく。JALが運航する国内線仕様機では、旧日本エアシステム(JAS、04年にJALへ統合)が1997年に導入したボーイング777-200型機「レインボーセブン」に個人用モニターがついていたが、JALが購入した飛行機としてはA350が初めてだ。
座席上部の荷物収納スペースも大きくなり、乗客が1人1個キャスターつきバッグを機内に持ち込んでも、収納できるようになった。
機内無線LAN(Wi-Fi)が利用できる時間も長くなった。これまで、JAL国内線のWi-Fiは米gogo(ゴーゴー社)のシステムを利用し、電波がつながるのは「離陸の約5分後から着陸の約5分前」だったが、A350では米パナソニック アビオニクス社のシステムを導入。「地上走行開始時からゲート到着時まで」利用できるようになった。
国内線の機内モニターではANAが先行
格安航空会社(LCC)がシェアを伸ばすなか、既存航空会社の国内線のサービス競争は加速している。座席にモニターがつくのは国際線では一般的だが、国内線ではスターフライヤーが導入している程度で少数派だ。ANA(全日空)は17年9月に導入を始めたエアバスA321neoで、初めて国内線機材で全席にモニターをつけている。19年5月には、19年秋から国内線主力機(ボーイング777-200型機、ボーイング787-8型機)の全席にモニター付きの新シートを導入することを発表。22年度上半期までに入れ替える。今回のA350で、JALが巻き返しを図ったともいえる。
JALでは国際線のみに就航していたボーイング787-8型機を、19年秋に国内線に導入予定。赤坂社長は
「今後国内線に入れていく機材については、やはりこのコンセプト、サービスの仕様をベースに、新しいものに順次変えていきたい」
と話しており、国内線向けのボーイング787にも新型シートが導入されるとみられる。
JALのA350の初号機は19年6月14日に羽田空港に到着したばかり。19年9月1日の羽田-福岡線を皮切りに国内線で運航が始まる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)