内定辞退は企業担当者に「直接会って」伝えるべきだとする「就活マナー」をめぐり、日経新聞がネット上の議論への「アンサー」とも取れる記事を掲載した。
マナーをめぐる議論は2019年5月中旬に日経産業新聞が掲載した記事が発端。今回の日経の記事では、「企業、2割が対面希望」との小見出しが打たれ、「企業と就活生のすれ違いが浮き彫りとなった」(本文より)との見方が示されている。とはいえ、企業側でも「対面」は少数派であり、企業・学生ともに「電話」が過半数を占めた。
「受験者だけがこんな負担を強いられる?」の声
波紋を広げていたのは、学習院大学が4月に開催した「内定獲得後のマナーセミナー」で、キャリアセンター担当事務長が話した内容。事務長は「メールの送りっぱなしや電話で完結してはダメ。必ずその企業に足を運ぶことが重要」と説いたといい、それを日経産業新聞が2019年5月15日に報じたところ、ツイッターでは
「交通費や時間をかけて受けた受験者を理由も説明せずにメール一通で落とすような状況がある。にもかかわらずなぜ受験者だけがこんな負担を強いられる?」
などと必要性を疑問視する声が相次いでいた。
そんな中で、日経新聞は6月上旬、主要企業100社を対象にアンケートを行い、その結果が6月16日の紙面に掲載された。それによると、企業が望ましいと考える内定辞退の伝達手段で最も多かったのが「電話」で66%。「対面」が16%で、「メール」が5%だった。
「突然連絡が付かなくなった(無視された)」が2割いる
対する就活生は、「電話」が圧倒的だ。就職情報大手マイナビが17年9月から10月にかけて新卒採用実績がある企業に対して行った「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」では、「学生からの内々定辞退の方法」を複数回答で聞いている。最も多かったのが「電話で」で90.5%。「メールで」も53.2%おり、「手紙で」が14.1%だった。「直接会った際に口頭で」は6.6%にとどまった。「突然連絡が付かなくなった(無視された)」も19.6%いた。今回の日経アンケートでは、「辞退経験のある入社1~2年目の若手社員」も対象になっており、近い結果(電話85%、メール24%、対面7%)が出ている。
望ましい内定辞退のあり方には諸説あるのも事実で、就職情報大手2社のウェブサイトの説明も、
「担当者が日中忙しかったり不在にしていたりする場合も考えられるので、まずはメールで連絡してみましょう」(リクナビ)
「内定辞退をする場合は、メールではなく担当者に電話連絡をして謝罪するのが一般」(マイナビ)
と対照的だ。ただ、両社の記事では、対面での辞退を求めるような記載は見当たらなかった。