FCA騒動で浮き彫りになった、日産が「ルノーと組み続ける」ことの難しさ

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それぞれに「メリット」ある統合だったが...

   FCAとルノーは、それぞれ経営統合へ前のめりになる事情があった。FCAは、経営破綻した米クライスラーをイタリアのフィアットが傘下に入れる形で発足した自動車メーカーで、傘下に「フィアット」「ジープ」「マセラティ」「アルファロメオ」などのブランドを擁する。2018年の年間販売台数は484万台で、ルノーの388万台を上回るが日産の565万台には及ばない。電動化や自動運転などの技術革新が進み、「100年に一度」の変革期を迎えている世界の自動車産業では、FCAクラスのメーカーが単独で技術開発を進めることは難しく、ルノーとの経営統合を通して、電動化と自動運転に関する技術力がある日産の技術を取り込もうとした模様だ。

   一方のルノーは、日産に対して以前から経営統合を求めていたが、両社が結んだ協定を盾に拒否されていた。そこにFCAから経営統合が持ちかけられ、実現すれば新会社の販売台数は日産を上回り、力関係はルノー側の優位に傾く。さらにフランス政府の持ち株比率も希薄化するため、経営の自主性も高まると目論んだ。

   ルノーとFCAの経営統合が白紙となり、今後はルノーと日産の関係に再び注目が集まる。今回の経営統合が発覚した直後、日産の西川広人社長は「アライアンスの幅が広がる」といった前向きな発言をしていた。しかし、ルノーの取締役会を目前に控えた6月3日、「統合が実現するなら、ルノーとの関係の在り方を見直す必要がある」との声明を出し、統合に向けた協議を牽制した。こうした日産の意向も、結果として統合を白紙に戻す要因の一つとなった。

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