お笑い芸人のカンニング竹山さんが「ワイドナショー」(フジテレビ系)で明かした潔癖症をめぐる「妙な基準」が話題だ。
2019年6月9日の放送で竹山さんは、カニの食べ方の話題になった際に自らが潔癖症であると明かしつつ、「俺、潔癖だから、ババアがさわったカニ食いたくないっすね」とボソリ。カニといえば、店によっては店員が殻をむいてくれる店もあるため、それを念頭に置きつつ、そのような店でカニを食べることは出来ないと明かした。
「寿司はね、難しいんですよ......」
なかなかの潔癖症ぶりに出演者たちは、早速、竹山さんへの「攻撃」を開始。MCを務める東野幸治さんが、「オバハンも手洗うよ」と指摘すると、竹山さんは「綺麗(うんぬん)じゃなくて、おばさんがダメなんですよ」と譲らず。話題は膨らみ、パネリストの松本人志さん(55)が「じゃあ、握り寿司はあかんやん」と尋ねると、「寿司がね、またこれ難しいんですよ......高級店だったらOK」と、竹山さんは謎の回答。このため、松本さんが「お前、差別えぐいな!」と突っ込むと、竹山さんは「寿司は寿司だからいけるんですよ」と、同語反復ながら自説を曲げなかった。
さらに、松本さんが、「じゃあ、若い子が(カニをむいたら)いいってこと?」と聞くと、竹山さんは「いや、それも違うんですよ」と、「ババア」だけでなく「若い女性でもダメ」との趣旨で応戦。このため、もはやどういう原理原則かは全く分からなくなり、話題は別のものに移行した。
近年では、「他人が握ったおにぎりが食べられない」とする人も多く、そのことがネットニュースのテーマとなることもあるなど、根深い問題になりつつある「潔癖症」。しかし、その一方で、そのような人が同時に「バスタオルは1週間洗わなくても平気」な人であったりするなど、一貫性のない潔癖症であることは意外に多い。そこで、J-CASTニュース編集部は、そのような矛盾はなぜ起きるのか? そして、その矛盾から脱する方法について、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏に話を聞いた。
一貫性のない「潔癖症」は「意識の習慣」
まず、「一貫性のない潔癖症」について鈴木氏は、この手の症状は本当の意味での潔癖症ではなく、他者から伝わってくる信頼感や安心感をランク付けした「意識の習慣」とでも呼べるものだと指摘する。
「この手の習慣を身につけている人は、許容できる『汚染度』のランクを設定していることが多く、それは習慣によってランク付けされています。竹山さんは『寿司は寿司だからいけるんですよ』『高級店だったらOK』とおっしゃっていましたが、発言の通り、『高級寿司店』は竹山さんの意識の中では上位にランクしており、ゆえに問題なく食べられるということだと考えられます。これだけ聞くと、竹山さんがものすごく差別的な人に感じられるかもしれませんが、決してそうではなく、竹山さんがこれまでの人生の中でより良く生きようと考えた(食当たりを避けようと考えた)結果、このようなランク付けが結果的に出来たということでしょう」
「一方で、本当の意味での潔癖症ですが、こちらはあまり矛盾らしきものは見られず、世の中全体が汚いと感じるものです。発生原因は習慣ではなくストレスで、ストレスが溜まりすぎて客観的な観察眼が鈍くなると、長時間にわたって手を洗うなどの強迫行為が出ます。そして、手を拭くものもハンカチやタオルではなくペーパータオルを使うなど、矛盾は見られません。なお、中には、この2つのハイブリッド型の人もいますが......」
また、これらの症状を直す方法についても教えてくれた。
「まず、『矛盾ある潔癖症』(=意識の習慣)の直し方ですが、これまでの考え(=これまでのランク付け)にこだわることなく、目の前で起きている出来事をプラスに考え直す癖をつけると良いでしょう。竹山さんの例で言うと、『カニの殻をむくおばちゃんは、自分のために食べやすくするために頑張ってくれているんだ』といった肯定的なイメージを抱くよう心がけるのです。一方の、本当の意味での『潔癖症』ですが、こちらはストレスが原因であることが多いので、ストレスの原因を突き止めてそれを解消することで解決できます。自分自身での解決が難しいのであれば、精神科や心療内科を受診すると良いでしょう」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)