このまま「2000万円」が争点でいいのか 国民だって理解している「年金だけでは暮らせない」現実

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   老後の30年間で2000万円の貯金の取り崩しが必要になると指摘した金融庁審議会の報告書の問題では、野党は第1次安倍政権が退陣する一因となった「消えた年金」問題(2007年)の再来とばかりに攻勢を強めたい考えだ。

   ただ、野党がキーワードとして位置付ける「100年安心」をめぐってかみ合わない議論も展開されており、このまま争点化するかは不透明だ。

  • 「2000万円問題」は争点化するのか(写真はイメージ)
    「2000万円問題」は争点化するのか(写真はイメージ)
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生活の「100年安心」と年金制度の「100年安心」は別問題

   安倍晋三首相は19年6月10日の参院決算委員会で、報告書について

「不正確であり、誤解を与えるものだった」

と述べる一方で、立憲民主党の蓮舫副代表は、

「不正確でも誤解でもない」

などと反論。自らの問題意識を

「今回の報告書で国民が怒っているのは『100年安心』が嘘だったこと」
「『自分で2000万円貯めろ』という、非常に無責任な国民を欺いた内容になっている」

などと説明した。

   そもそも、「100年安心」は、公明党が主導で04年に実現した年金制度改革のことを指しており、大きく(1)保険料の上限を決めて、その範囲で年金の給付水準を自動的に調整する「マクロ経済スライド」を導入する(2)積立金を100年かけて取り崩す(3)給付水準は現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)との比較(所得代替率)で50%以上を確保すること、が柱。生活が「100年安心」なのではなく年金の制度が「100年安心」だとしているに過ぎない。仮に今回の報告書に「自分で2000万円貯めろ」というメッセージが込められていたとしても、ここでいう年金の「100年安心」にどう影響するかは見えにくい。

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