ロペスはいかに「モチベーション」を保った?
井上は現在、WBAとIBFのベルトを保持しており、WBA王座を2度防衛中である。次戦はWBA同級スーパー王者ドネアとの王座統一戦となる。これに勝利すれば、王座のさらなる防衛、他団体との王座統一などの選択肢が広がる。現時点でバンタム級がベストウエイトであることから当面はバンタム級にとどまり、階級転向は数年後となるだろう。すでにスーパーフライ級王座を7度防衛している実績からみても、具志堅用高氏の持つ13度の世界王座防衛記録を更新する可能性を持つ者は、井上以外に見当たらない。
スーパーバンタム級、フェザー級と、順を追って階級を制覇していけば、世界5階級制覇となり、世界のスーパースターと肩を並べる。いずれにせよ、現在のところ、世界の軽量級で井上の絶対的ライバルとなりそうなボクサーは見受けられない。今後、井上のボクサー人生は「ケガ」と「モチベーション」の戦いになるかもしれない。
完ぺきなレコードを誇り、無敗のまま引退したロペスのモチベーションは、世界王者としての「プライド」だったいう。その「プライド」は、井上の師匠である大橋秀行会長から世界王座を奪った時に生まれた。大橋会長からロペスへ。そして王者の「プライド」は井上に引き継がれる。井上がゴールとする35歳まであと9年。「モンスター」はこれまで日本のボクシングファンが行ったことのない高みへ導き、見たことのない景色を見せてくれるだろう。
(J-CASTニュース編集部 木村直樹)