「陣形」が整っているか否か?
近年のラグビーでは「ストラクチャー」「アンストラクチャー」という言葉が頻繁に飛び交う。簡単に言うと、
・ストラクチャー=「陣形」が整った状態。スクラムやラインアウトといった「セットプレー」からの攻撃や守備は、味方も相手も「陣形」ができている状況
・アンストラクチャー=「陣形」が整っていない状態。味方、相手のキック合戦となった場合、カウンターアタックを仕掛ける(仕掛けられる)ことも多くなる
要は「形」が「ある」か「ない」か、ということを表す用語だと思っていただいていい。
因みにイングランド、アイルランド、スコットランド...といった欧州のチームは、かねて「組織力」で戦ってくる「ストラクチャー」パターンが多い。
逆にニュージーランド、オーストラリア、フィジー、サモア...といった南半球のチームは、選手個々の優れた状況判断、スピードに優れており「アンストラクチャー」攻撃に長けているとされている。
サッカーに置き換えれば「欧州=組織力」「南米=個人技」というように考えれば、理解しやすいかと思う。
では、日本代表は、どう戦うべきなのか?
3氏とも「容易にキックを蹴るべきではない=簡単に『アンストラクチャー』の形を作るべきではない」との意見だ。
今泉さんは、
「だって(ボールをキャッチした)相手が190センチ、100キロで、100メートルを11秒ぐらいで、30メートル向こうから突進してきたら、止められないでしょ」
永友さんも、
「キックを蹴るということは『相手にボールを渡す』ということ。世界の流れは、そうなりつつあるかもしれないが、日本が選択すべき手段ではない」
坂田さんは、
「日本代表が目標に掲げている『8強(以上)』を目指すのであれば、大事なのは、ボールポゼッション(支配率)を増やすこと。容易にボールを相手に渡してしまえば、術中にハマってしまうかもしれない」
現HC(ヘッドコーチ)のジェイミー・ジョセフ氏は、ニュージーランド出身。ここ最近の日本代表戦を見ていると、確かにキックの応酬となり「アンストラクチャー」になっている場面が多いようにも思える。
しかし、3氏は「できるだけ、自分たちのボールをキープすること。2015年イングランド大会のような『パスラグビー』に徹すれば、勝機は見出せる」と話した。
今大会、日本代表は初の「8強」以上を目指す。この目標は果たして達成できるのか。次回は、この点について3氏の見立てを聞く。