広島・野村祐輔投手(29)の国内フリーエージェント(FA)権取得が目前に迫っている。野村は2019年6月11日、札幌ドームで行われた日ハム戦で先発し、1回6安打5失点で降板。打者9人に対して49球を要しての大炎上で、プロ最短となる1回KOとなった。この日のKOで野村は2軍降格に。これで国内FA権取得は先送りとなったが、1軍復帰後に権利取得となる見込みで、今後の動向に早くも注目が集まっている。
今シーズン、野村はここまで11試合に登板して3勝3敗。5月21日の中日戦以来、白星から遠ざかっている。今シーズンは序盤で打ち込まれて失点を重ねるゲームが多く見られる一方で、クオリティ・スタート(QS=先発投手が6回以上投げ、3自責点以内に抑える)を5試合で達成している。好不調の波が激しいのも今シーズンの特徴だ。
複数球団が名乗りの可能性もパ・リーグ球団は...
今月24日に30歳となり、そのキャリアはベテランの域に差し掛かっている。ひとまずFA権取得は先送りとなったが、権利取得後の動向は各球団の首脳陣が注目するところ。権利を行使するか否かは現時点では不明だが、在京球団の関係者は「野村が権利を行使すれば、複数の球団が獲得に動くのでは」と見ている。
前出の関係者によれば、パ・リーグの球団が獲得に名乗りを上げる可能性は低いという。その大きな理由として、パ・リーグチームとの相性を指摘する。野村は2016年6月16日の西武戦以降、交流戦での白星はなく、今シーズンも6月4日の西武戦に登板して6回6安打4失点(自責1)で勝敗付かず。そして11日の日ハム戦での1回KO。パ・リーグのパワー野球との相性は決して良いとはいえないだろう。
有力候補はヤクルトも、捨てきれない巨人「参戦」の可能性
では、セ・リーグの球団に目を向けるとどうだろうか。前出の関係者は次のように語った。「野村を一番欲しているのがヤクルトでしょう。ヤクルトの投手陣は、先発、中継ぎともに枚数が足りていない。ヤクルトの投手事情を見れば、野村は先発ローテーションとして期待が持てます。明治大学出身の野村は6大学リーグで神宮のマウンドに慣れている。クセがあって投げにくいといわれる神宮のマウンドを数多く経験しているのは大きなアドバンテージになる」
また、ヤクルト同様に先発陣に不安がある巨人も候補のひとつだという。
「当然、巨人も興味を示すでしょう。ただ、巨人は過去にFAで広島から大竹(寛)を獲得して失敗してますから慎重になるでしょう。高額年俸の野村を獲得するとなれば人的補償問題が出てくる。前回は一岡(竜司)を放出して痛手を被ったので、その反省が活かされるならば慎重になると思います。ただ、今シーズンの巨人の先発陣を見ると、野村が必要なコマになることは間違いないでしょう」(関係者)