#KuTooは「ジェンダー」か「パワハラ」か 署名運動側と厚労省の直接対話、進展は

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   職場で女性にハイヒール・パンプス着用が強制されていることをめぐり、ネット上で広まったハッシュタグの「#KuToo」。

   これらの靴の強制問題について、市民や厚生労働省の担当者が集まって意見を交わす集会が2019年6月11日、東京都内で開かれた。署名活動をしている女優の石川優実さん(32)は集会で、「根本にジェンダーの問題がある」と強調した。

  • 厚労省側に質問する石川さん
    厚労省側に質問する石川さん
  • ローファーを履く石川さん
    ローファーを履く石川さん
  • 厚労省側に質問する石川さん
  • ローファーを履く石川さん

ハイヒールを好きで履いている人から「やめて」

   アルバイト先で、男性スタッフは革靴、女性はヒールがあるパンプスを指定されている現場を見てきた石川さん。「なんで私たちはパンプスなんだろう、というところから始まりました」と振り返った。石川さんは「男性の靴と女性の靴が指定されているものが違うところは絶対に飛び越えて考えてはけないところ」と強調。「根本にジェンダーの問題があることは間違いない」と訴えた。「健康の問題でもあり、労働環境の問題でもあると思う」としつつも、「まずは男性と女性の履物が違うことは、皆さん忘れずに問題にしておいてほしい」と語りかけた。

   署名を出してから、「お前も我慢しろ」「どこの会社が突き止めてやる」などのバッシングや脅迫まがいの言葉を受けることも。運動が広まるにつれ、ハイヒールを好み履いている人から「やめて」と言われることが多いという。石川さんは「全然履いてもらいたいですし、私たちは履かない権利がほしいだけ」と強調する。

   石川さんが「芸能の仕事をしていたので、結構慣れているというかバッシングに。一般の女性なら会社をやめなきゃいけない。精神面もつらい、そういう女性を増やしたくないので、賛同してくださっている方いたら、みんなで...」と声を詰まらせる場面も。「どうしてもバッシングの方に目が行ってしまって怖かったんですけど、これだけ集まってくれる人もいるし、同じ思いの方もたくさんいてくれるのが、こういう集会を開いてくださってありがたいです」と感謝の言葉を述べた。

根本厚労相の「容認」は改めて否定

   集会には、厚生労働省雇用機会均等課の担当職員も出席。担当者は、「一部報道で、あらゆるパンプスの強制を容認したというかのような報道も頂いてしまったが、そういうことを言いたかったわけではない」と強調。根本匠厚労相の答弁について、

「いわゆる業務上の必要性が相当というところが判断のポイントになってくるんだということがあり、健康被害がある中でパンプスを強制することが適当じゃないと当然のことだと我々としても考えていますし、けがをして本人がいやがっているのに、それでも無理やり履かせるというのはパワハラにもあたりうるんだろう」

と改めて見解を表明。今国会で成立したパワハラ防止法などに言及し、「ハラスメント対策に取り組んでいきたい」としていた。

   担当者の発言に対し、石川さんは「業務上必要なパンプスが必要なところについてお話されたりしましたか。どういう職業が業務上必要とされるのか、私は知りたいと思っている」と追及。担当者は「CAの方や小売業であるとか、そういったところでこういう靴を履くルールがあるんじゃないかということは承知している。どういう事情でどういう議論の中でそれが出てきたのかというようなことなのかなと思います」と答えた。

「我々の方でこの業界は必要じゃないと判断するのは難しい」

   石川さんはさらに、「CAさんのお仕事にヒールやパンプスが必要だと思いますか。必要ならなぜ必要だと思いますか」とただすが、担当者は

「具体的にどこまで必要なのか、我々の方でこの業界とこの業界は必要じゃないと判断するのは正直かなり難しいのかなと思っていて。そこは現場で議論頂きながら考えていくところかなと思います。コメントは難しい」

と明言は避けた。

   厚労省の担当者は「男性がどうで女性がどう、という話でやっていくよりも、今回、国会で議論いただいたパワーハラスメントの定義ができていく。そこに当たりうるかどうか、無理に履かせるパワハラなんじゃないかっていうですね、そうした考え方で議論を進めていくのが当面の対応としては考えられる」と見解を示した。

   これに対して、石川さんは、

「男女で靴が違うことと、女性の方は負担があると、ここまで証明が出ているのにパワハラの問題にするのが不思議。男女に違う靴が履かされていることを認識しているのか、ヒールがある靴の方は足が痛いことを認識されているのか不思議なんですが、なぜわざわざ無視するんですか」

と問うも、担当者は

「無視をしているということはございません」

と否定し、「今回署名として頂いておりますし意見が出てきている。今回の報道のされ方を見ているとやはり、そういう意見が増えてきているということは我々としては確認しています」とのスタンスを示した。

   そのうえで担当者は、「厚生労働省では(男女)雇用機会均等法、雇用分野について男女の違いをなくしていこうというような法律にしています。服装の違いや服の中身の違いで禁止をするというような考えや議論は、まだ法律の中にない状況になっています」と説明。担当者は、「今回ご意見いただいておりますのでそうした状況踏まえながら、法律を作るときには要旨も含めて議論をして合意を形成して、段階を踏む必要がございます。そういう状況があることを踏まえながら合意できるか、というふうになると思っております」

と答えた。

250人中6割超「ハイヒール・パンプスを強制された、もしくは強制されているのを見た」ことが「ある」

   集会では、ネットメディア「ビジネスインサイダージャパン」が実施した、職場でのハイヒール・パンプス着用に関するアンケート調査結果も報告された。調査によると、205人のうち6割超の140人が、「職場や就活などでハイヒール・パンプスを強制された、もしくは強制されているのを見た」ことについて、「ある」と答えているという。

   このうち、「ある」と答えた人の中で多かったのは、「マナー講座などで指導を受け、それに従っていた」が50人、「慣習になっていた」が44人、「就業規則などに明記されていた」が33人、「上司などから口頭で指示を受けた」が36人だった。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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